韓国の2024年12月の国際収支統計、金融収支(Financial account)の方にいきます。
金融収支は、「直接投資」「証券投資」「その他投資」「デリバティブ」「外貨準備の増減」で構成されています。外貨準備の増減については先にご紹介しましたが、韓国は外貨準備高が積めなくなってきています(以下は先記事より再掲)。
直接投資も減少(停滞)していますが、これはちょっと置きます。
端的にいって「韓国に対する外国からの直接投資」がこれから増えるとは考えられません。
なぜなら、韓国の労働単価が安いわけではなく、労働生産性も高くなく(労働組合は賃上げ争議ばかり起こします)、基礎・革新技術を持つ企業があるわけでもなく、ロクな観光もなければ、スグ北に核ミサイルを持つカルト国家があるので、よほとマゾヒスティックな志向を持つ投資家あるいは企業でなければ、韓国にお金を突っ込もうとは考えないでしょう。
当月のデータで面白いのは「証券投資」です。
まず、以下をご覧ください。
上掲のオレンジ色のセルにご注目ください。証券投資の資産の部ですが、12月はわずか「8億6,250万ドル」しか計上されていません。
前月、11月の「3億9,120万ドル」のときにも指摘しましたが、どうしてこんなちょびっとしか資産が増えないのか?――です。
証券投資の資産の部の「株式(Equity Securities)」で一般政府が興味深い動きをしています。以下をご覧ください。
2024年10月「-7億7720万ドル」、11月「-27億5,340万ドル」、12月「-16億8,110万ドル」と資産を減らし続けています。
計「52億1,170万ドル」も資産を減少させています。外国資産がマイナスということは株式を売却してキャッシュインを意味します。なぜ韓国政府は52億ドルも入手しなければならなかったのでしょうか。
ドルはあるのかしら?――という疑問が湧きます。
負債の部でも興味深い結果となっています。以下をご覧ください。
黄色のマーカーのセルをご覧ください。証券投資の負債の部は「-37億9,510万ドル」となっています。マイナスということは、外国への負債が減少したことになりますが、外国の皆さんが韓国の資産を売却したことを意味しています(だから負債が減る)。
何が減ったのか――ですが、以下をご覧ください。
↑黄色のマーカーは証券投資負債の部の長期債権、一般政府セクター。
長期債券の部(Long-term debt securities)で、一般政府の負債が「18億3,380万ドル」減少しています。外国人投資家が政府の長期債権を18.3億ドル売却したのです。
融資を計上する「その他投資」の方でも興味深い数字があります。負債の部には外国から融資を受けた金額が表れますが――、
長期融資は「14億8,290万ドル」、短期融資は「22億8,250万ドル」となっています。前月・前々月は、その他投資負債の部はマイナスでした。
負債が減少したということは、お金を返してその分負債を減らしてわけです(キャッシュアウトになる)。ところが当月はプラス化していますから、また外国から融資を受ける方に転じたわけです。
韓国メディアは「12月は経常収支が良かった」と喜んでいるかもしれませんが、金融収支の方では「きしみ」が表れているようにも見えます。
※この記事はタイミングよく出し損なったもので、すでに2025年01月の国際収支統計が公表されています。誠に申し訳ありません。
(吉田ハンチング@dcp)