2024年12月03~04日の戒厳令騒動で、『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁にとんだ「とばっちり」があったことが分かりました。
12月05日、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は『韓国銀行』で記者からの質問に答え、以下のように述べました。
「非常戒厳がわずか6時間で非常に迅速に解除されたため、金融市場は短期的に揺れたものの、経済成長率はそのままだと見ている」
「成長率の見通しが変わっていないため、金利の動きも変わらないだろう」
「先制的な金利引き下げには経済見通しが変わる必要があるが、現在のところ新しい情報がないため、経済見通しを変更する必要はない状況だ」
市民と同じく、非常戒厳の宣布には李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁も「あいつ、何やってんだ」と驚愕したに違いありません。
しかし、約6時間で戒厳令が解除されたので、短期的な影響だけで済んだ――としています。実はこの日、2024年第3四半期の国民所得が公表されました。結果は以下です。
2024年第3四半期 国民所得(暫定)
◆ 2024年第3四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.1%増加
(前年同期比1.5%増加)名目国内総生産は前期比0.8%減少
(前年同期比5.0%増加)◆ 実質国民総所得(GNI)は前期比1.4%増加
(前年同期比2.7%増加)名目国民総所得は前期比0.5%減少
(前年同期比5.0%増加)⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2024年第3四半期国民所得(暫定)」
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁の発言で注目すべきは「先制的な金利引き下げには経済見通しが変わる必要がある」です。
韓国メディアや政府(戒厳令騒動で現在ほとんど機能せず)は、『韓国銀行』に対して「基準金利を下げろ」を連呼するのですが、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁はかねがね「うっせー」とばかりに、木で鼻をくくったような対応をしてきました。
今回も、この発言は外野に釘を刺したものと見られます。
「お前らは、また金利を下げろ下げろというかもしれないが、現在のところ新しい情報がないので下げねーよ」と言っているわけです。
この人はメディアに阿ったりしません。ブレません。信用できます。
また、同日の記者との対話で面白かったのは以下の発言です。
「他の主要国ではファンダメンタルズや財政などの政策の方向性の違いによって政府が崩壊することがあるが、韓国の場合は純粋に政治的な理由で戒厳が発生した」
「このように、(韓国は)経済基盤や経済成長の原動力があり、それらが政治的な理由と切り離されているため、信頼度に大きな影響を与えることはないと思う」
「今回の戒厳事態は、海外の衝撃がむしろ大きいようだ」
「国内では国内の政治状況を見続けてきたため、なぜこうしたことが起きたのかある程度は推測できるが、海外では本当にショックを受けたようで、私の電話やメールに答えきれないほど多くの質問が寄せられた」
今回の戒厳騒動で、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁に電話・メールが殺到した――というのです。李昌鏞(イ・チャンヨン)さんは『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)のアジア太平洋局長を務めた人なので、金融関連のつながりも多く、「韓国は何やってんだ。大丈夫なのか」と問い合わせが多かったのでしょう。
今回の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の非常戒厳宣布は、ほとんど突発的に決めたものだったようです。
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁にすれば、とんだとばっちり。「オレに聞かれても知らんがな」だったでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)