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韓国「短期融資で対外負債を88億ドル」積む!「いつか来た道」の危ない兆候か

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2023年05月10日、『韓国銀行』が2023年03月の国際収支統計を公表しました。経常収支の方は以下の記事でご紹介しましが、金融収支の方で興味深いデータがあるのでご紹介します。

当月は金融収支が「-13億7,620万ドル」となっています。

金融収支がマイナスということは、外国との取引で資産よりも負債が増えたことを意味しています。

金融収支の当月の大項目を見ると以下のようになるのです。

直接投資:+18億7,840万ドル
証券投資:+63億5,540万ドル
その他投資:-95億1,240万ドル
デリバティブ:+10億4,900万ドル
外貨準備の増減:-11億4,660万ドル
金融収支(上記5つの合計):-13億7,620万ドル

韓国の金融収支はここまでほとんどプラスで回ってきました。つまり、負債より資産の方が多く、資産を増やしてきたのです(その分国内から外国へのキャッシュアウトになる)。

ところが、2023年01月に「-6億2,360万ドル」となって「おや?」で、03月に「-13億7,620万ドル」。

「負債の方が大幅に増えた」となっており、上掲の大項目の中でご注目いただきたいのは「その他投資」です。これは、外国との「融資」の取引を計上する項目です。つまり、お金の貸し借りです。

それが「-95億1,240万ドル」にもなっています。

当月は約100億ドルも負債の方が多かったことを意味しています。

なぜこのようなことになったのか、その他投資の「負債の部」の細目を見てみると、以下のようになっています。

⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」

その他投資は「長期融資」「短期融資」「現預金」で区別されますが、短期融資は1年以内に返済しなければならない融資です。

当月は、負債を「88億3,310万ドル」も増やしており、そのうち短期融資が「53億6,840万ドル」になります。

韓国は、貿易収支で赤字になると経常収支が赤転しがちになり、足らない外貨を外国から調達。これが償還できなくなってドボン騒動を起こします。

現在、貿易収支赤字、また経常収支が赤字方向に傾いています。そこで短期融資の負債が増えるのはよくない兆候です。

実際、韓国が危なくなると、その他投資、負債の部、それも短期融資が増加するのです。例えば、2020年03月、ドル枯渇でドボン騒動寸前までいった際には、短期融資の負債が「140億890万ドル」も増加しています。

結果、この大ピンチはアメリカ合衆国『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が提供したドル流動性スワップ(韓国側呼称は通貨スワップ)で救われました。

その過程は以下のように国際収支統計に表れています。


↑黄色のフォーカス部分、2020年03月には短期融資で「140億890万ドル」も負債を増やしています。それぐらいドルがなかったわけです。オレンジでフォーカスした部分、04月には中央銀行、すなわち『韓国銀行』が175億1,550万ドル、翌05月には13億2,900万ドルも負債を増やしました。これが、ドル流動性スワップ(通貨スワップ)で調達したドル負債です。

⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」

――というわけで、短期負債を海外から増やすという状況となっています。まだ03月だけなので先を見ないと分かりませんが、少なくともいい兆候ではありません。

(吉田ハンチング@dcp)

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