株価のモメンタムを計測する指標(INDEX)「ROC」ですが、株価の変化率を示すだけではなく、ROCの推移から重要なサインを見つけることもできます。その例が「ディーバジェンス」です。先のMACDを紹介する中でも出てきましたが、このディーバジェンスはトレーダーに有益なサインとなります。
株価が上昇している局面で、ROCは逆に低下するということがあります。何度も引用しますが、下の佐藤ボイラー(バカ)が損切りしたイグニス(銘柄:3689/東証マザーズ)のチャートを見てください。ROC(10日)は株価の推移とはずいぶん違う形をしているのがすぐ分かるでしょう。
2016年11月21日に終値で最高の「9,700円」をつけ、いったん下げますが、2016年12月14日の終値「1万2,300円」に向かって上昇を続けます。しかし、ROCは11月18日にピーク「344.84」となった後は下がり、株価の第二のピークとなった12月14日にはROC「133.67」にまで低下します。
MACDの考案者であるジェラルド・アペルは「このように、株価が新高値へと上昇しているにもかかわらず、モメンタムがこれに追随しないパターンのことを『弱気のディバージェンス』と呼ぶ。弱気のディバージェンスは、株価上昇に対してモメンタムが追随しないことで相場の上昇力の低下を示しており、相場が弱気であることを意味している」と指摘しています。
「 」内は『アペル流テクニカル売買のコツ』(パンローリング社刊・原題『Technical Analysis:Power Tools for Active Investors』)P.89より引用。
このようなディバージェンスの発生は、強気相場、つまりは株価の上昇局面の終わりを示すことが多く、事実この後、イグニスの株価は一転して下落局面となります。つまり、第二の株価のピークをつける段階において、株価の上昇力はすでに大部分が失われており、トレーダーに「上昇の終了」のサインを告げているというわけです。
MACDと同様、ROCの推移を見る際にはディバージェンスの発生についても十分に留意することが的確な売買サインを見極めるために重要なのです。
※「divergence」はアペルの著書などを和訳したものでは「ダイバージェンス」とカタカナで書かれていることが多いのですが、発音記号は「dɪvˈɚːdʒəns」ですので、ここでは「ディバージェンス」と表記しています。
(吉田ハンチング@dcp)