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社会保障税の税率を上げることは解決にならない

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日本の社会保障税、もちろん日本の言い方は社会保険料ですが「加入が義務」で「天引きされる」ので税金と同じです。社会保険料(ケッ!)の主たるものは健康保険料と厚生年金です。給与収入のサラりーマンの皆さんは、これら社会保険料は「企業と折半」がルール。

皆さんの社会保険料負担の半分を企業が引き受けることになっているのです。つまりは、社会保障税の負担増は企業の業績をも圧迫するわけです。ブラック企業なんていわれる、労働基準法を破る企業があるのも社会保険料の負担や、残業代・休日出勤手当などの負担をしたくないからですね。

さらに、社会保障税は人に掛かる税金(負担)ですから、雇用に伴って増える負担が看過できないくらい大きいと判断すれば、企業は雇用を抑えることになるでしょう。これを裏付ける研究もあるのです。

シカゴ大学のスティーブン・デイビスとストックホルム・スクール・オブ・エコノミクスのマグナス・ヘンレクソンの調査によると、

・社会保障税の税率引き上げは労働人口と逆相関する
⇒税率を引き上げると労働人口が減っている

・社会保障税の税率引き上げは一人当たりの労働時間と逆相関する
⇒税率を引き上げると一人当たりの労働時間は減っている

社会保障税の徴収について「やがてくる自分の老後のための積立だ」という意識があるのであれば、こういう結果にはならないでしょう。ほとんどの人は社会保障税の徴収を「将来の自分への積立」とは考えていないのです。意識の上では「税金」です。これは当然といえるでしょう。政府が「税」という言葉を使っていなくても(その分「姑息なやり口」だともいえます)、徴収されたお金は自分に回ってくるかどうか分からないのですから。

まとめますと、社会保障税の税率を上げることは「労働者の勤労意欲を削ぐこと」になりますし、さらには「企業の業績を圧迫すること」でもあるわけですから、これは総じて生産性を落とすことです。社会保障税の税率を向上させればしのげる、みんなで我慢しよう、なんていう識者もありますが、筆者はその意見には組みしません。

結局はみんなで我慢した挙げ句にドボンになるだろう、と予測しています。それを決めたヤツはそのときには大部分が墓の下で大笑いしているかもしれませんがね。

(柏ケミカル@dcp)