韓国政府「資源開発」の損切りフェーズに
韓国政府はこれまでに石油・銅など海外の有望と思われる鉱山に投資を行ってきました。
しかし、山師なんて言葉があるとおり、そう簡単に当たりの鉱山を引けるものではなく、そのほとんどがはずれで、赤字が重く公企業のし掛っているのです。
なにせ債務超過になる公企業もありますので、現在韓国政府は「売れるものは売って撤退しよう」という損切りフェーズに入っています。
で、2021年07月16日、韓国メディア『ChosunBiz』が損切りに入っているのに余計にお金がかかる羽目になったというケースが報じられました。
舞台はペルーです。
ペルー政府から「原状回復費」を払えといわれる
韓国の『石油公社』は韓国企業『ポスコインターナショナル』『SKイノベーション』と共にペルーに8鉱区の油田事業を営んできました。鉱区はアマゾンの密林の中にあります。1996年にアルゼンチンの石油企業『プラスペトロ』と韓国コンソーシアムが事業権を獲得。
『プラスペトロ』:60%
『韓国石油公社』:20%
『ポスコインターナショナル』:11.66%
『SKイノベーション』:8.33%⇒参照・引用元:『ChosunBiz』「[단독] 석유공사·포스코인터·SK이노, 페루 광구 철수로 ‘백지’ 벌금 청구서 받아…“아마존 오염시켜”」
という支配比率です。つまり、韓国コンソーシアムで40%の支配権を持っているわけです。
2024年まで事業期間は確保されているのですが、原油の生産量が急減したため、2020年末に韓国政府は撤退を決めました。
ところが、ペルー政府の「環境評価監督庁」は、撤退するのであれば「原状回復費」(名目は「環境汚染負担金」)を支払うようにと要求したのです。引っ越しするときのような話ですが、場所が場所ですのでペルー政府の要求には一理あります(撤退時にある程度のお金を支払うのは一般的だそうです)。
早く徹底しないと収益が減る!
『ChosunBiz』の記事ではこの費用を「罰金」と書いていますが、「罰金」と呼ぶのはいささか被害妄想的であるのではないでしょうか。
『石油公社』は、2021年01~06月までに「321万ドル」(約3.5億円)を支払ったとのこと。
株式比率20%でこの金額ですので韓国コンソーシアム全体ではこの倍、「642万ドル」(約7億円)を負担したと考えられます。
この「原状復帰費」は環境汚染の場所が見つかるごとに加算されるようで、どこまで費用がかさむか不明で、撤退が遅れれば遅れるほどその金額は膨らみます。
この鉱区への投資収支は以下のように計算されています。
1996~2022年
投資金額:11億3,000万ドル(約1,246.3億円)
回収金額:12億7,000万ドル(約1,400.8億円)
収益:1億4,000万ドル(約154.4円)
(利益率:約12.4%)
※引用元は同上
25年間で利益率「約12.4%」(年利約0.50%)が成功かどうか……分かりませんが、早く撤退しないと利益がさらに減ることは確かです。
(吉田ハンチング@dcp)