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中国の「日本が韓国に惨敗」という噴飯ものの記事が出る

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2021年07月24日、『COURRiER JAPAN』に「コロナ後の経済回復で『日本が韓国に惨敗』の理由を中国メディアが分析」という記事が出ました。コロナ禍から韓国経済は大きく回復しており、日本は遅れをとっているという内容です。

中国メディア『Asia Times』の記事を元したものですが、一部を以下に引用します。

(前略)
韓国の5月の輸出額は507億3000万ドル(約5兆5700億円)、前年同月比45.6%増と、ここ32年で最高の伸び率だった。半導体や自動車といった主要品目が好調なせいだ。

日本も主要な貿易相手国である中国の経済回復によって輸出は改善しつつあるが、韓国ほどの勢いはない
(後略)

⇒参照・引用元:『COURRiER JAPAN』「コロナ後の経済回復で『日本が韓国に惨敗』の理由を中国メディアが分析」
赤アンダーライン、強調文字は筆者による

日本の輸出の回復が韓国に及ばないので、日本はコロナ禍から経済的に回復していないというのです。噴飯物の主張です。韓国・中国と違って日本はもう輸出に頼った国ではありません。

以下の日本の経常収支をご覧ください。

経常収支
2020年05月:+ 99億5,700万ドル(約1兆1,008億円)
2021年05月:+181億3,100万ドル(約2兆44億円)
(対前年同期比:82.1%増加

データ出典『日本国 日本銀行』/『JETRO』作成/スクリーンショット

最新の2021年05月までのものですが、05月は経常収支は昨年同月「+82.1%」も増加しています。

ちなみに、2021年01~05月の月次の経常収支の対前年同月比の増減は以下のようになります。

日本の経常収支の対前年同月比の増減
01月:+ 14.0億ドル(約1,548億円)
02月:+ 9.7億ドル(約1,072億円)
03月:+ 64.0億ドル(約7,075億円)
04月:+102.0億ドル(約1兆1,276億円)
05月:+ 81.7億ドル(約9,032円)
累計:+262.7億ドル(約3兆3億円)

この経常収支の拡大は何でしょう。日本の経済は回復していないのでしょうか?

中国は特に経済の規模をなんでもGDPで考えがちですが、国内に巨大なゴーストタウンを築いても、ほとんど利用されない赤字の高速鉄道を建設してもGDPは増えます。公海に国際法違反な基地を築いてもGDPに加算しているでしょう。そんな国と一緒にしてもらいたくはありません。

第2に、貿易輸出の回復で日本が韓国に劣っているから――という点。

そもそも韓国よりも輸出の回復が対前年同月比で少ないからといって、気にする必要もないのですが、

日本も主要な貿易相手国である中国の経済回復によって輸出は改善しつつあるが、韓国ほどの勢いはない

は本当でしょうか? 実はここにはごまかしがあります。

同記事の、「韓国の5月の輸出額は507億3000万ドル(約5兆5700億円)、前年同月比45.6%増」というのは、韓国の関税庁のデータを引いたものです

では、日本の国際収支統計から輸出のデータを引いてみましょう。

貿易収支のうち「輸出」のデータ
2020年05月:393億3,400万ドル
2021年05月:566億2,800万ドル
対前年同期比:43.97%増加

データ引用元は同上/元データは『日本銀行』

韓国は「対前年同期比:45.6%増」でしたね。日本は「対前年同期比:44.0%増加」。

韓国:45.6%
日本:44.0%

この1.6%の差で、日本の輸出の回復は韓国に及ばないと書いているのです。しかも日本の数字は表記していません。邪推するなら、書けば読者が「そんなに差はないじゃん」と思うからではないでしょうか。つまり、韓国の経済回復に日本は遠く及ばないと印象付けるための書きようであると思われます。

残念なことに、少なくとも数字上では「日本が韓国に惨敗」は事実ではありません。

『Asia Times』のタイトルは「Korea’s ‘innotech’ economy maddens analog Japan」です。同記事の中に突然ハンコの話が出てきて驚きますが、これは「アナログな日本」を象徴するために持ち出したものです。以下が元記事です。「読むには1ドル支払ってください」といわれます。

⇒参照・引用元:『Asia Times』「Korea’s ‘innotech’ economy maddens analog Japan」

この記事の書き手は『韓国銀行』の国際収支統計に当たるべきでした。そうすれば韓国の輸出金額をもっと大きくすることができたのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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