2023年06月31日、『韓国銀行』が「金融安定報告書(2023年06月)」を公表しました。これは、2023年第1四半期時点での韓国の金融システムの状況をリポートしたものです。
興味深い結果が出ています。
金融システムの安定性はいまだ警戒域
まず「金融安定指数」(FSI)を見てみましょう。以下をご覧ください。
2023年05月(暫定版)
FSI(金融安定指数):17.0⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「金融安定報告書(2023年06月)」
「FSI」(金融安定指数)は、数字が大きくなるほど金融システムの安定性が損なわれていることを示します。
数字が「8」から「警戒域(Warning Satge)」に入り、「22」を超えると「危険域(Crisis Stage)」です。
韓国通貨危機時の2008年12月には「57.4」を記録し、コロナ禍の中ドル不足に陥ってドボン寸前だった2020年04月には「24.3」と危険域に突入。
実際、『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が提供した「ドル流動性スワップ」(韓国側呼称「通貨スワップ」)がなければ、ドル枯渇で危なかったのです。
なにせ韓国の証券会社には、外国から外貨建ての追証がかかっていましたから。
その後、FSIは低下しますが、2021年06月の「0.0」を底にして上昇。2022年03月に「8.3」となって警戒域に再進入。
2022年10月:23.4
2022年11月:23.0
2022年12月:22.0
2023年01月:22.2
の4カ月は、危険域に進入していました。以降は徐々に低下し、『韓国銀行』の最新のデータによると2023年05月は「17.0」(暫定値)まで低下しています。
しかし、いまだ警戒域にあるのは見逃せません。
韓国の金融脆弱性は増している
問題は、もう一つの「金融脆弱指数」(FVI)の方です。
「FVI」は四半期ごとに算出されており、今回2023年になって初めて「第1四半期」分が公開されました。以下をご覧ください。
2023年第1四半期
FVI(金融脆弱指数):48.1⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「金融安定報告書(2023年06月)」
「FVI」(金融脆弱指数)は0~100までの値を取り、数字が大ききなるほど、金融システムの脆弱性が増していることを示しています。
韓国通過危機時の2008年第2四半期には「73.1」を記録。アジア通貨危機時、韓国が事実上破綻した1997年の第2四半期には「100」でした。
直近でいえば、2021年第2四半期の「59.4」が最高値です。
そこから低下傾向で、2022年第4四半期には「46.0」まで下落。ところが今回、2023年第1四半期に「48.1」と上昇に転じました。
韓国の金融システムの脆弱性は増したことになります。また、上掲にあるとおり、2007年第1四半期~2023年第1四半期の平均値「39.4」を上回る状況にあり続けています。
韓国経済はいまだ複合危機を抜け出したわけではありません。
(柏ケミカル@dcp)