韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領自身が発表を行うという入れ込み具合を見せた「日本海のガス田開発」。
↑2024年06月03日、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領自身が「ガス田が有望」という説明を行いました。
Money1でもしつこくご紹介していますが、すっかり産業通商資源部はやる気満々で、(お金もないというのに)2024年末に1本目の試掘に掛かる予定です。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領自身が前のめりなので、もはや止められないのかもしれませんが(こういう点が韓国の駄目なところ)、もしダメそうなのが判明しているのなら「引く」勇気を持つべきでしょう。
「悲しみガス田、日本海」になる前に。
「駄目そう」なのかどうなのか――について、韓国メディア『JTBC』が面白い報道をしています。
信頼できる会社の報告書を握りつぶした!
このガス田開発について――きちんとした探査会社から「リスクが高い」という報告書があったのに、それを握りつぶして開発の発表を行ったのではないか――というのです。
↑YouTube『JTBC』チャンネル/朝鮮語
上掲の動画の報道の要点を訳すと以下になります。
【アンカー】
政府は東海(原文ママ:引用者注)油田開発事業を発表し、根拠としてアメリカ合衆国企業『ACT-GEO(アクトジオ)』の分析結果を根拠に挙げました。しかし、『アクトジオ』に先駆けて世界1位の石油掘削企業も石油公社の依頼を受けて分析を行い、「リスクが相当である」という結論を出していた事実が明らかになりました。
それにもかかわらず、政府はこの結論自体を非公開にしたことが分かりました。キム・フィルジュン記者が取材しました。
(中略)
【記者】
(前略)しかし、『アクトジオ』に先立ち、2022年末に世界1位の石油掘削企業『Schlumberger Limited』(シュルンベルジェ)が、『韓国石油公社』の依頼を受けて分析を行っていたことが判明しました。これは、『ウッドサイド』社と『石油公社』の探鉱の有望性に関する資料を再評価するためのものでした。
しかし、『石油公社』は『シュルンベルジェ』の分析結果についての報告書を受け取っておきながら、これまで非公開にしていました。
それが、国政監査を前にして国会に提出することになったのです。
ただ、これさえも成功可能性の数値など主要な部分を削除して出しましたが、否定的な見通しが目立ちます。
報告の結論部分には、
「最もポジティブな地域にも相当なリスクが存在する」とか
「当該地域に対する理解度が未熟である」
と書かれているのです。
先に16年間この地域を探査した『ウッドサイド』社も「事業性が低い」と撤退しています。
(後略)⇒参照・引用元:『JTBC』「[단독] 세계 1위 시추기업 “리스크 상당”…석유공사, 보고서 받고도 ‘비공개’」
驚きなのは、『石油公社』が『Schlumberger(シュルンベルジェ)』に既存探査データの調査依頼を行っていたことです。
この『Schlumberger(シュルンベルジェ)』は、1927年創業の世界的企業で、油層探査・評価・掘削機器の開発・製造・販売・サポートなどの業務を行っています。
日本の『JOGMEC』とも共同で開発に取り組む実績があり、信頼がおける企業です。
↑『Schlumberger(シュルンベルジェ)』には日本法人もあります。同日本法人のサイトではこのように「坑井試験(Well Testing)サービスについて説明しています/スクリーンショット
「なんだ、『Schlumberger(シュルンベルジェ)』の報告書なら信頼がおけるだろう」……なのですが、同社の報告書は握りつぶしていたのです。
報告書にある成功確率などの重要なデータは削除して国会に提出した、というのですから恐れ入ります。
「最もポジティブな地域にも相当なリスクが存在する」
「当該地域に対する理解度が未熟である」
が報告書の結論なら、このガス田開発は無理筋なのではないでしょうか。
危ないなら「引き返す」のも勇気!
まあ韓国の領海内ということで日本の知ったことではありませんが、韓国内には最大野党『共に民主党』を筆頭に「本当にやるのか?」と懐疑的な意見が少なくありません。
以前にも書きましたが、「山師」という言葉があるがごとく鉱山開発というのはとても困難な事業です。
『JOGMEC』さんに取材させていただいたことがありますが、有望な鉱山というのはもはや探し尽くされており、「掘ってみなければ分からん」というのが本当のところ――だそうです。ましてや採算に乗るかどうか10年、20年掛かりの事業になるとのこと。
この点からいっても、なんでもかんでもパリルパリルという韓国人には全然向いていません。そもそも地道にコツコツ技術開発したり、基礎技術を積み上げたりといったことを全く行わず、派手な結果だけ求めるのが韓国の皆さんです。
だから産業でも文化でも「外華内貧」※というハリボテ状態になるのです。
ちょっとやってみてダメそうだったら光の速さで撤退するのが目に見えます。
――まあ年末を楽しみに待つことにいたしましょう。
(吉田ハンチング@dcp)