韓国では尿素・尿素水を調達しようと政府をひっくるめて必死ですが、政府は「5カ月先の分までは確保した」とひと安心しています。
しかし、「確保した」というのが「輸出元で数量を押さえた」という意味であれば、問題は解決したわけではありません。
世界的な船便不足のため、数量を確保したとしてもいつ韓国内に運び込めるのか分からなければ現場の役に立たないからです。
韓国政府はオーストラリアから2万7,000リットルを空軍を使って空輸しましたが、これなどパフォーマンスに過ぎません。韓国が必要とする量を必要な時に到着させることができるのか、が問われます。
韓国では「尿素水による物流大乱」なんてことになっていますが、Money1でもご紹介したとおり、それ以前に「海」では、コンテナ不足・船便不足で困っているのです。
船便不足の現状をコストで見てみましょう。以下は毎度おなじみのSCFI(上海コンテナ運賃指数)です。
↑毎度おなじみの「SCFI」。2021年10月08日、最高値の「4,647.60」をつけた後は若干戻しています。⇒参照・引用元:『MacroMicro』「China & Shanghai Containerized Freight Index」
07月にご紹介した際には「4,000突破」で驚いていたのですが、とうとう「4,600」を突破したのです。このコストの急騰はもちろん船便を見つけるのがいかに困難になっているかを示しています。
韓国政府が船便の手配までしているのか、「運送の便まで考えて5カ月までの分まで調達した」と述べたのかは甚だ疑問です。
この点を指摘した記事が韓国メディア『中央日報』に出ています。記事から一部を引用すると以下のような具合です。
(前略)
貿易業をしているシンモさんは、尿素水不足の事態が起きた直後からアメリカ合衆国と日本を対象に尿素水探しに乗り出した。彼はついに合衆国で尿素水を100トン近く供給できるという企業を見つけたが、別の壁にぶつかった。
シン氏は「合衆国の港でコンテナ不足が激しく、08月に予約したコンテナもまだ入っていない状況」とし「政府の助けがなければ解決できないと考え、すぐに調達庁と産業通商資源部に連絡した」と話した。
しかし、5日が過ぎて連絡してきた産業部事務官は「私たちは尿素だけをコントロールする。尿素水は環境部所管だから環境部と相談せよ」とし、海運物流と関連しては「要素数問題は『HMM』(海運専門業者・旧現代商船)でまず受け付けることにしたから『HMM』に直接連絡しろ」とした。
(後略)
政府の対応もどうかと思われますが、『HMM』(韓国唯一といっていい最大手海運会社)に振られても同社は大変に困るでしょう。それでなくても通常の輸出入でてんてこ舞いだからです。
――というわけですので、韓国の尿素不足が韓国政府のいうとおりに片付くかどうかはまだ分かりません。調達したといった尿素・尿素水の到着が遅延するなら、それまでは枯渇状態が継続されるからです。
(吉田ハンチング@dcp)