韓国の次期大統領選挙が刻一刻と近付いています。
政府与党『共に民主党』の李在明(イ・ジェミョン)候補と最大野党『国民の力』の尹錫悦(ユン・ソギョル)候補の一騎打ちと見られますが、李在明(イ・ジェミョン)さんの支持率が伸びず、(いろいろな調査があるものの)尹さんとは10%以上の差が明確になっています。
李在明(イ・ジェミョン)さんの支持率はじり貧です。
そのためでしょう、李在明(イ・ジェミョン)さんはここにきて発言を先鋭化させています。尹さん、また保守派の主張を批判するのみならず、矛先は現文在寅政権にも向くようになりました。
まず以下の李在明(イ・ジェミョン)さんの発言をご覧ください。
「暖かい部屋の机で現場感覚なしに意思決定をした」「深く反省する必要がある」
これは、洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官に向かっての発言だと見られています。「国民全てに災害支援金を追加せよ」という主張に否定的な洪長官を批判したのです。洪長官だけではなく金富謙(キム・ブギョム)首相も支援金の追加給付には反対しているので、李在明(イ・ジェミョン)さんとしては苦々しいのでしょう。
次に、文政権の不動産政策に苦言を呈した以下の発言。
「文在寅政府の暴力という視点には同意しないが、政策においては確実な差別化が必要だ」
「不動産価格の急騰は文政権の無策が原因」と国民からも見られているので、文政権の施策と自分は違うよと言いたいのです。
しかし、李在明(イ・ジェミョン)さんの不動産施策というのは、「高位公職者が投機を行えないように住居用以外の不動産を持つことを禁じる」「不動産による不労所得を禁止する」「国土保有税を導入する(ベーシック・インカムの財源にする)といったものなのです。
また、文政権が行った「所得主導経済」「労働時間の週52時間制導入」で雇用が大量に喪失したにもかかわわず、次のように発言をしています。
「人間らしい生活と労働時間短縮のための週4日制はいつかすべきことだ。長期的な国家課題になるだろうが、第4次産業革命に合わせてなるべく早く導入するよう努力しなければならない」
ただでさえ生産性が低いとされる韓国で、この上「週4日制」が導入されたらどうなるでしょうか。
現在シンクタンクが懸念している「韓国の潜在成長率の低下」はさらに拍車がかかることになるでしょう。端から見ている分には、一種の経済的な実験ですので、どうなるのかぜひ結果を示してほしいところですが、決して韓国の経済発展に寄与しないだろうことは実施する前から見えています。
この李在明(イ・ジェミョン)さんの「週4日制」の主張は、韓国の労働組合の要求するところでもあります。
実は、「韓国労働組合総連盟」は次期大統領に対して「週4日制」を要求することにしています。同組合は賃金保全がなされた上で実施することを掲げ、「59万の雇用が創出される」と主張しているのです。韓国労総からすれば、「週4日制」に同調している李在明(イ・ジェミョン)さんは投票対象となるでしょう。
――というわけで李在明(イ・ジェミョン)さんはその主張を先鋭化させています。「政権交替」を望む声が大きいと調査で分かっていますので、文政権を批判することで「現政権との違い」を際立たせたいという意図があるものを推測されます。
しかしながら、極左の主張なのでどこまで支持を伸ばせるのかは疑問です。
(吉田ハンチング@dcp)