韓国「ソウル地下鉄」脱線事故。なぜフェイルセーフが作動しなかった?

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韓国のソウル地下鉄で脱線事故が発生しました。

2025年03月23日07:50頃、新亭シンジョン車両基地から出庫し、新道林駅4番ホームに進入していた第5931列車が、停止信号を無視して線路終端を越えて脱線しました。


↑ソウル地下鉄2号線で見事に脱線した車両。

『ソウル交通公社』は当初、

事故列車は車止め(所定の位置を越えないようにホーム端に設置される構造物)に衝突したことが脱線の原因

――と発表しました。

しかし、同日17:30頃になって「現在、人為的要因、施設の問題、システムエラーなど、正確な事故発生経緯について多様な可能性を開いて調査中」としました。

死者がでなかったのは幸いですが、2号線はソウル地下鉄の中でも1日平均輸送人員が約200万人と最も多い路線です。この路線で事故があったので、復旧されるまで、多くの市民に迷惑を掛けました。


↑復旧に取り組む皆さん。

謎なのは、フェールセーフが作動しなかったことです。赤信号が点いているのに進入しようとしたら、自動で制御が掛かりそうなものです。なぜ作動しなかったのでしょうか。

筆者の知り合いの著名な鉄道ライターに聞いてみたところ――、

韓国の地下鉄も日本と同様にATS(自動列車停止装置)が整備されていて赤信号を無視すると自動ブレーキがかかります。

日本では赤信号手前でブザーが鳴って警告します。

ただし、運転士が赤信号を認知した上で、車内でATSのスイッチを切ることもあります。

うるさいので(笑)。

韓国の保安方式は知らないのですが、うるさいから警告ブザー切ってしまい(習慣で)、その後で操作を誤った可能性があります。

Wikipediaの「ソウル交通公社2号線」によると、

> 閉塞方式:ATS・ATC(日本式WS-ATC)・ATO(ドイツ製)

とあります。

ATOは自動列車運転装置です。

これは、運転士がボタンを押すと、発車から次の駅の停車まで自動的に運転します。運転士は最初のボタンを押して発車の指示を出すだけです。

列車は車庫からの出庫だったようです。

設定されたATOパターンではないのに、ATOだと思って運転士が操作を怠ったかもしれません。

あるいは、ATSが動作したのに間に合わないくらいスピードが出ていたかもしれません。

これは日本でも例があります。例えば「土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故」です。

いずれにしても運転士のミスの可能性が高いと思われます。

とのことでした。

『ソウル交通公社』の関係者が――、

「事故原因の本格的な調査のため、該当列車を運行していた運転士らを直ちに職務停止とした」

「さまざまな可能性を念頭に置いて調査を進めている」

と述べたとのことですので、運転士のミスというのは恐らく正しいものと思われます。

(吉田ハンチング@dcp)

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