これまで韓国は、政府負債・企業負債、家計負債、3部門のうち、増加速度がまだましなのは企業負債だけだったのですが、そうもいってられなくなっています。
金利が上がっているので仕方ありませんが、資金調達コストが上がるのはもちろん、企業負債が膨らんでいます。
流動負債が11%増加した!
韓国メディア『ソウル経済』では、KOSPI(韓国総合株価指数)の時価総額上位20社(金融関連と『韓国電力』を除く)の四半期報告書を分析し、結果、2022年03月基準での総流動負債が「396兆741億ウォン」に達すると報道しました。
流動負債ですから、1年以内に償還しないといけない負債です。
2021年03月末には「357兆5,666億ウォン」でしたので、直近1年間で「10.8%」増加したことになります。
流動負債が200%も増えた「K-バイオ企業」
この『ソウル経済』の分析で興味深いのは、前文在寅大統領が「K-なんとか」と呼んだジャンルに属する企業での流動負債が急増していることです。
以下に『ソウル経済』の記事からデータを引いてみます。
対前年同期比での流動負債の増減
半導体
『SKハイニックス』:+70%バイオ
『サムスンバイオロジックス』:+200%バッテリー
『LGエネルギーソリューション』:+45%
『サムスンSDI』:+35%⇒参照・引用元:『ソウル経済』「【独占】高金利の中…大企業の借金11%増」
「K-半導体」「K-バイオ」「K-バッテリー」などの言葉が懐かしく思い出されます。ちなみに、韓国の有名ITプラットフォーマー『Kakao(カカオ)』も流動負債が対前年同期比で「+86%」と急激に増加しています。
『韓国銀行』はどうするのか?
来る07月、『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)がまたジャイアントステップ「0.75%」(=75bp)を踏んで政策金利を上げる可能性が高まっています。
『韓国銀行』がどうするか?――ですが、基準金利を0.5%(=50bp)上げるのではないかという予測がでています。
現在のところ、
韓国:1.75%
と金利はすでに上限では並んでいます。
仮に『韓国銀行』が0.5%上げたとしても、『FOMC』が0.75%上げれば、以下のとおり上限での金利差は逆転します。
韓国:2.25%
この「0.25%」の差でどのくらい韓国からの資金流出が加速するのかが問題です。
しかし、上記のとおり、金利を上げることは韓国の企業負債を押し上げる効果があります(当然家計負債も押し上げます)。資金流出を抑えるため、またインフレをなんとかするためには金利を上げないといけないのですが、上げたら上げたで企業負債、家計負債の時限爆弾に点火する可能性が高まります。
『韓国銀行』としては「薄氷を踏む思い」といったところではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)