2023年02月24日、『韓国銀行』が「経済展望報告書」を出したのですが、これがあまりいい話ではありません。ひと言でいえば「不確実性が高くてどうなるや分からん」という内容です。
元のリポートはとても長いですので、概要を全部和訳してみます。以下をご覧ください。
概要
[1]最近の国内外の情勢変化などを考慮すると、経済成長率は今年と来年中にそれぞれ1.6%、2.4%水準を示す見通し
ㅇ今後、国内経済はグローバル景気減速、金利上昇などの影響で上半期中、低調な成長の流れを続けると予想され、下半期以降は中国やIT景気の回復などで徐々に良くなると予想されるが、見通しの不確実性は高い。
民間消費は、実質購買力の鈍化、元本返済負担の増大などで回復が緩やかなものと予想される。
設備投資は、グローバル景気減速と金融費用の増大などの影響で低迷する見通し。
建設投資は、住宅景気の減速、SOC予算の減少などが下方要因となる。
商品輸出は、グローバル景気低迷で当分の間、減速の流れが続くが、下半期以降、中国・IT景気の回復などに支えられ、徐々に改善する見通し。
[2]雇用者数は今年と来年中にそれぞれ13万人、15万人増加する見通し。
▪昨年のリオープンによる効果が縮小され、景気減速の影響が現れ、微増にとどまる見通し。
[3]消費者物価上昇率は今年と来年中、それぞれ3.5%、2.6%となる見通し
ㅇ今年は国際原油価格が昨年より下がり、景気が減速するなど、供給及び需要側の物価圧力が共に弱まり、消費者物価上昇率が昨年(5.1%)より大幅に低下するものと予想
経常収支の黒字規模は今年と来年中にそれぞれ260億ドル、480億ドルを記録する見通し。
ㅇGDPに対する経常収支黒字比率は今年及び来年中、それぞれ1%台半ば、2%台半ばの水準で予想
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「経済展望報告書(2023年02月)」
経済成長率の予測は、Money1でもご紹介しましたが、以下のとおり変わっていません。
2023年:1.6%
2024年:2.4%
上半期は「グローバル景気減速、金利上昇などの影響で上半期中、低調」と認めていますが、下半期には「中国やIT景気の回復などで徐々に良くなると予想」しています。
中国頼みなのが「いかがなものか」です。
企業の設備投資も低迷
商品輸出は、グローバル景気低迷で当分の間、減速の流れが続く
としているので、いいことは全くありません。『韓国銀行』自身の言葉なので確かなのでしょう。
しかし、韓国経済の屋台骨を支える「輸出」について、こちらも「下半期以降、中国・IT景気の回復などに支えられ、徐々に改善する見通し」としています。IT関連の需要回復はともかくとして、中国の景気が回復しなければどうなるのでしょうか。
特に半導体は、アメリカ合衆国が「中国に渡すんじゃねえ」としているのですが、本当に半導体の対中国輸出は戻るのでしょうか。また、『サムスン電子』『SKハイニックス』の中国本土工場は、最先端の装備などが運び込めなくなりそうなのに稼働できるのでしょうか。
ご注目いただきたいのは、最後にある経常収支予測です。
2023年:260億ドル
2024年:480億ドル
としています。鬼が笑うので、来年2024年のことはともかく、2023年に「260億ドル」ということは、2022年より下がるといっています。
2022年は「298億3,090万ドル」だったのですから、今年は昨年よりさらに約40億ドル経常収支が減るのです。
『韓国銀行』の予測が正しいのなら、2013~2023年の経常収支推移は上掲のようになります。
来年(2024年)のことはいっても仕方ありませんが、2023年はここ10年でも最悪の結果になることを『韓国銀行』が予測しました。ドボン騒動を起こさないことを期待いたしましょう。
(吉田ハンチング@dcp)