2024年05月22日、『韓国銀行』が2024年第1四半期の「International Investment Position」(対外資産負債残高:略称「IIP」)を公表しました。IIPなのでストックの統計です。簡単にいうと残高の数字がこのデータで分かります。
韓国政府と中央銀行である『韓国銀行』の対外債権と対外債務を見てみましょう。
まず、以下が対外債権(資産)です。債権は「韓国が外国から取り立てることができる金額」を示しています。
↑黄色でフォカースしたのが韓国政府(一般政府:General government)の資産、赤色でフォーカスしたのが『韓国銀行』(Central Bnak)の資産です/以下同2024年第1四半期時点 External Assets(対外資産:債権)
韓国政府:518億ドル
『韓国銀行』:4,202億ドル⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「International Investment Position(Q1 2024)」
韓国政府の対外債権(資産)は「518億ドル」しかありません。『韓国銀行』が保有する対外債権(資産)は「4,202億ドル」となっていますが、その7つ下に示されている外貨準備高(Reserve Assets)「4,201億ドル」とニアリーイコールです。
また、この「4,201億ドル」は『韓国銀行』が公表している外貨準備高と合致しています(合っていて当然ですが)。
次に対外債務(External Debt)の部です。債務は「外国が韓国から取り立てることができる金額」を示しており、要するに返さなければならない借金の額です。以下をご覧ください。
2024年第1四半期時点 External Debt(対外負債:債務)
韓国政府:1,653億ドル
『韓国銀行』:249億ドル⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「International Investment Position(Q1 2024)」
『韓国銀行』の発表なのでウソはないでしょうが、韓国政府(General government)の対外債務は「1,653億ドル」もあります。
どっと債権者がつめかけたときに「返済できるのかよ」を見るときには、純債権(債権 – 債務)を計算します。債権の方が多ければ――すなわち純債権の額がプラス――なら、(一応は)借金取りが押し寄せても大丈夫だ、と考えられます。
資産の方が多いからです。
韓国政府を見てみると――。
韓国政府
債権:518億ドル
債務:1,653億ドル
純債権(債権 – 債務):-1,135億ドル⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト「International Investment Position(Q1 2024)」
政府と中央銀行は一体だ――と考えると、韓国の対外債権と対外債務、および純債権は以下のようになります。
韓国政府(一般政府 + 中央銀行)
債権:4,720億ドル
債務:1,902億ドル
純債権(債権 – 債務):2,818億ドル⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト「International Investment Position(Q1 2024)」
一応、外国から借金取りがわっと押し寄せても大丈夫に見えます。
そこで問題になるのは「本当に公表しているだけの外貨準備高があるのか?」です。なぜなら、上掲のとおり、『韓国銀行』が保有している債権(資産)というのはほとんど全部外貨準備だからです。
公表されている外貨準備高がアテにならないなら、韓国(政府 + 中央銀行)の脆弱性についての議論は全く変わったものになります(先にご紹介したとおり韓国の外貨準備は時価計算されておりません)。
筆者などは、外国のファンドの皆さんが韓国ウォンに大規模な通貨アタックを仕掛けてくれないか――と考えています。どこまで耐えられるかで韓国の外貨準備の実態が明らかになるだろうからです。
(吉田ハンチング@dcp)