2023年02月21日、中国で中国共産党中央委員会政治局が開催され、習近平総書記が興味深い発言をしています。
『新華社通信』によれば、「党と国家は常に基礎研究活動を非常に重視してきた。新中国の建国後、特に改革開放以来、わが国の基礎研究は大きな成果を上げてきた」から、科学研究、基礎研究の重要性について力説しています。
長い発言なのですが、以下の「お言葉」は要注目です。
(前略)
要打好科技仪器设备、操作系统和基础软件国产化攻坚战,鼓励科研机构、高校同企业开展联合攻关,提升国产化替代水平和应用规模,争取早日实现用我国自主的研究平台、仪器设备来解决重大基础研究问题。科学技術機器、オペレーティングシステム、基本ソフトウェアの国産化の厳しい戦いを戦い抜き、科学研究機関、大学、企業の共同研究を奨励し、国産代替のレベルと適用規模を改善し、中国の自主研究プラットフォーム、機器・設備の早期実現に努め、基礎研究の重大な問題を解決する必要がある。
(後略)
習近平総書記がここにきて基礎技術を蓄積することの重要性を説き、早く国産の製品で輸入品を代替できるように努力しよう――などと力説しているのは、明らかにアメリカ合衆国による半導体規制が効いているためでしょう。
2015年05月19日に国家目標として公表された「中国製造2025」では、半導体の自給率を2025年までに「70%」まで上げるとしました。しかし、この目標はもはや達成できません。
合衆国『ICインサイツ』の予測では、2026年時点でも中国の半導体市場は「2,740億ドル」。中国での生産規模は「582億ドル」です。単純に割り算すると、自給率は「21.2%」
「中国製造2025」でぶち上げた「70%」にはとうてい及びません。
また同様の計算方法で2021年時点での半導体自給率は「16.7%」です。しかし、これは中国本土で半導体を生産している外資系企業の分も入っています。
それを除けば、2021年の自給率は「6.6%」にしかならないと『ICインサイツ』は指摘しています。
合衆国の対中国規制で「中国製造2025」の野望はさらに遠のくものと思われます。だからこそ習近平総書記は発破をかけたものと思われます。
もっとも最近では、中国自身が「中国製造2025」をとんと持ち出さなくなっています。「千人計画」と同じように「マズイ!」と考えたのでしょう。
――まあロクなものではありません。
(吉田ハンチング@dcp)
」