半導体戦争において、台湾『TSMC』はキープレイヤーとなっています。地政学的リスクが懸念されますが、中国共産党の無法な侵攻に備えて、アメリカ合衆国、日本に半導体製造施設を建設するリスク分散に入りました。
『TSMC』をライバル視している韓国ですが、自国の『サムスン電子』との差が拡大する方向なのを非常に懸念しています。なにせ「半導体強国」を自認する国なので、『TSMC』に置いていかれる――というのは恐怖以外の何者でもないからです。
『サムスン電子』の2022第4四半期の業績が公示されましたが、以下のように営業利益が対前年同期比で69%も減少していました。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。2022年第4四半期
総売上:70兆ウォン(-8.58%)
(約7兆円)
営業利益:4兆3,000億ウォン(-69.00%)
(約4,300億円)2022年通期
総売上:301兆7,700億ウォン(+7.93%)
(約30兆1,770億円)
営業利益:43兆3,700億ウォン(-16.00%)
(約4兆3,370億円)※( )内は対前年同期比/円への換算は2023年01月14日の「1ウォン=0.10円」
これに対して韓国のライバル視する『TSMC』は、以下のような実績です。
2022年第4四半期
総売上:6,255億2,000万台湾ドル(+42.8%)
(約2兆6396.9億円)
営業利益:3,250億4,100万台湾ドル(+77.8%)
(約1兆3,716.7億円)※( )内は対前年同期比の増減/円への換算は2023年01月14日の「1台湾ドル=4.22円」
『サムスン電子』と『TSMC』の2022年第4四半期の営業利益を比較すると以下のようになります。
『サムスン電子』:4兆3,000億ウォン(約4,300億円)
『TSMC』:3,250億4,100万台湾ドル(約1兆3,716.7億円)
『サムスン電子』の営業利益が約4,300億円で、『TSMC』が約1兆3,717億円なので、『TSMC』は『サムスン電子』の3倍以上の利益を上げたことになります。
しかも、『サムスン電子』が対前年同期比で「-69%」だったのに対し、『TSMC』は逆に+77.8%と利益を伸ばしています。
韓国メディアはさっそく「嘆き節」の記事を出しています。以下に『ソウル経済』から一部を引用します。
(前略)
売上高も2四半期連続『サムスン電子』を追い越し、格差もさらに大きく開いた。韓国政府・国会が支援にとどまっている間、「グローバル半導体1位企業」のポジションが『サムスン電子』から『TSMC』に完全に移ったわけだ。
「大企業特恵」に対する歪んだドグマがもたらした結果だ。
(中略)
さらに、『TSMC』はシステム半導体の一つで、『サムスン電子』が半導体・スマートフォン・家電など全事業部門で稼いだお金の3倍以上を稼いだ。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「반도체 홀대 ‘초라한 자화상’…TSMC 4분기 영업익 13조 , 삼성의 10배 [View&Insight]」
台湾に追い抜かれ、その差が拡大するという危機感を表明した記事になっています。
ご注目いただきたいのは、「「大企業特恵」に対する歪んだドグマがもたらした結果だ」という言い分です。
台湾に比べて我が韓国政府の「企業に対する支援」はなぜ薄いのかという嘆きであり、政府への恨み節です。
前文在寅政権からひきずって、「財閥は悪」とする左派・進歩系『共に民主党』が国会では過半数を押さえています。そのため、半導体企業に対する支援がうまく進みませんでした。
なにせ文在寅大統領がぶち上げた「K半導体」なるものは、「キミたち企業がお金を40兆ウォンほど投資して頑張るんだよ」という噴飯物な計画でしたから。
また、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が期待していた「Kチップス法」が国会で骨抜きにされたのは、先にご紹介したとおりです。
韓国政府の支援のなさが台湾に差を開けられる結果となったのだ、という意見には一理はありますが、基本的には企業間の技術力の差といえます。『サムスン電子』は『TSMC』に技術力で負けつつあるのです(もう負けています)。
(吉田ハンチング@dcp)