中国商務部・王文濤が「韓国との貿易が赤字でうれしい」と言った――ほんとぉ?

広告
おススメ記事

2025年08月25日(現地時間)、韓国大統領になりおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんが訪米し、アメリカ合衆国のトランプ大統領と米韓首脳会談を行いました。

この真ウラで、李在明(イ・ジェミョン)さんは中国に親書を携えた特使団を送っていました。

誰が思いついたのか知りませんけれども、「合衆国と中国を天秤にかける」という態度を明確にしたのです。

コウモリ外交であり、「台湾にも謝謝、中国にも謝謝と言っときゃいいんだ」と言い放った李在明(イ・ジェミョン)らしい姿勢です。

先にご紹介したとおり、この特使団は親書を中国外交部の部長(外相に相当)、王毅さんに届けました。


↑李在明(イ・ジェミョン)さんの派遣した特使団、その団長に指名されたのは朴炳錫(パク・ビョンソク)さんです(左)。

実は、この特使団は中国の商務部も訪問し、王文濤さんにも会っています。


↑商務部の王文濤部長(右)と朴炳錫(パク・ビョンソク)韓国特使団の団長。なぜ立ち位置がこんなに右に寄っているのかよく分からない商務部の公式PHOTO。

中国外交部のプレスリリースは先記事でご紹介していますので、商務部のプレスリリースの全文を以下に引きます。

8月25日、王文涛商務部長が北京で韓国大統領特使の朴炳錫と会見した。

王文涛は、中韓は重要な近隣国であり、経済貿易協力のパートナーであると表明した。

韓国の新政府が就任した後、習近平主席は李在明大統領と電話会談を行い、二国間関係の深化と発展について重要な共識に達し、両国の経済貿易関係の発展に方向を指し示した。

中韓が国交を樹立して33年来、二国間の貿易額は60倍以上増加し、中国は韓国にとって第一の貿易パートナー国であり、韓国は中国にとって第二の貿易パートナー国である。

経済貿易協力は二国間関係の中で「バラスト(安定器)」の役割を果たしてきた。

中国側方は韓国側方とともに両国首脳の重要な共識を実行に移し、産業チェーン・サプライチェーンの安定かつ円滑な維持を図り、中韓自由貿易協定第2段階交渉を加速させ、新産業・新分野の協力潜在力を掘り起こし、二国間の経済貿易協力をより深く、より着実に推し進めていくことを望んでいる。

現在、国際経済貿易秩序と多国間貿易規則は厳しい挑戦に直面しており、中韓は多国間貿易体制を断固として守り、地域経済の一体化を共同で促進すべきである。

朴炳錫(パク・ビョンソク)は、中韓が国交を樹立して以来、二国間関係の発展は目覚ましい成果を収め、経済協力は重要な基礎的役割を果たしてきたと表明した。

両国の経済産業発展の新たな変化に直面し、双方は協力を通じて新たな機会を探し出すべきである。

韓国側は中国側と緊密に意思疎通・交流を行い、共に産業チェーン・サプライチェーンの安定を維持し、中韓自由貿易協定第2段階交渉の進展を加速させ、地域および多国間の枠組みの下での協力を強化し、国際経済貿易情勢の変化に適切に対応していきたいと望んでいると述べた。

⇒参照・引用元:『中国 商務部』公式サイト「王文涛部长会见韩国总统特使朴炳锡」

この韓国特使団と中国商務部王文濤部長の会談について、韓国メディア『聯合ニュース』がおっかしな記事を出しています。

以下に同記事から以下に引用します。

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が中国に派遣した特使団は25日、北京で同国の王文濤商務相と面会した。王氏は朴炳錫(パク・ビョンソク)元国会議長を団長とする特使団に対し、

「中国は昨年353億ドル(約5兆2000億円)の対韓貿易赤字を記録した」とし「われわれはこの赤字をうれしく思い、両国間の貿易構造による正常な現象と受け止めている」と話した。 
(後略)

⇒参照・引用元:『聯合ニュース』「中国商務相『対韓赤字、うれしく思う』韓国特使団に」

王文濤部長が、2024年には対韓国貿易で353億ドルの貿易赤字となったのに、この赤字を「うれしく思った」と述べた――というのです。

本当でしょうか?

実際、上掲のとおり、中国商務部のプレスリリースには、そんな文言・感想は見られません。

もう一つ、重要な問題があります。

もしこの報道が本当なら、商務部の王文濤部長は「中国は対韓国貿易で赤字」と認識していることになります。

しかし韓国政府のデータでは「韓国は対中国貿易で赤字」となっています。

つまり両国とも「相手国との貿易で赤字だ」といっているのです。

どうしてこんなことになるのでしょうか?

――ともあれ、本当に王文濤さんは「韓国との貿易が赤字なのをうれしく思う」などという発言をしたのでしょうか?

付記
念のために付記しますが、中国は「貿易収支の赤黒は損得ではない」という発言を昔からしています。例えば2019年06月02日には、商務部の王受文さんが「米中貿易において、中国は巨額の貿易黒字を享受し、米国は損失を被っているとよく言われます。しかし実際には、貿易黒字や貿易赤字は、不利か有利かとは無関係です」と述べています。今回ご注目いただきたいのは「貿易赤字がうれしい」とまで言ったのか、です。

(吉田ハンチング@dcp)

広告
タイトルとURLをコピーしました