「金融危機」が起こると世界全体の経済がガタガタになります。例えば、サブプライムローン問題に端を発して起こった2008年の「リーマン・ショック」は世界に大打撃を与えました。今や、一国の経済破綻(デフォルト)が世界に連鎖反応を引き起こす時代です。この「金融危機」はここ20年余りしょっちゅう起こっているのです。
これまでに起こった金融危機・通貨危機をピックアップしてみましょう。
■近年の金融危機・通貨危機
●1987年 ブラックマンデー
●1990年 スウェーデン金融危機
●1991年 BCCI破綻
●1992年 イギリス・ポンド危機
●1990年代半ば 中南米(メキシコ・ブラジル・アルゼンチン)経済危機
●1997年 アジア通貨危機
●1998年 ロシアデフォルト、日本の金融危機、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻
●2000年 ITバブルの崩壊
●2001年 アルゼンチンデフォルト、エンロンのスキャンダル発覚
●2005年 パルマラット・スキャンダル
●2008年 リーマン・ショック
●2012年 欧州通貨危機
このように「金融危機ばっかりじゃん!」という状況であることが分かります。特に1990年代の頻発ぶりはひどいですね。
大蔵省の主税局国際租税課長を務めた経験を持つ志賀櫻先生は、
「1990年代に入って以降の世界経済を振り返ってみると、経済危機の連続であった。この相次ぐ経済危機は、金融システムが震源であるという点で、それまでの経済危機とは異なる様相を呈している。その意味で経済危機というよりは、金融危機と呼ぶべきである」
と述べています(『タックス・ヘイブン ――逃げていく税金』P.148より引用)。
■金融危機の「火種」は常にある!
2015年にデフォルト問題に直面した国としてギリシャがあります。ギリシャの経済規模はEU全域で見れば、非常に小さいので(GDP規模で1.9%ほど)、仮にギリシャがデフォルトしたとしてもそれほどの影響はない、と観測した専門家もいました。事実、市場はギリシャのデフォルトを織り込んで動きましたので特に混乱はありませんでした。
しかし、一方でこのギリシャのように世界的な金融危機を引き起こすかもしれない「火種」は常にあるのです。例えば、危ないといわれ始めた「中国」、欧州では「イタリア」「スペイン」の経済状況などに世界の注目が集まっています。韓国でもいよいよ経済危機が本格化しそうな局面です。
以前、投資会社の人に取材した際に、「金融危機が頻発しているように思うのですが?」と聞いたところ、「業界が『何とか危機』って呼ぶのが好きだからね」と苦笑していました。しかし、問題はもちろん「現在の金融システム」にあるのです。
金融危機を引き寄せる暴走マネー、そして暴走マネーを許すシステムを何とかしない限り、危機を管理することはできない――というのが専門家の意見です。
(高橋モータース@dcp)