中国の金融市場が怪しいことになってきました。先からご紹介しているとおり、国有企業でデフォルト(債務不履行)・破産申請が相次いだために中国企業の発行した株式、債券に不信感が持たれているためです。『Wind』のデータによると驚くべき事態となっています。
2020年12月18日時点
債務不履行になった新規事業体:27
債務不履行になった債券:164
債務不履行になった累積額:1,600億元(約2兆5,288億円)
債務不履行になった新規事業体:27
債務不履行になった債券:164
債務不履行になった累積額:1,600億元(約2兆5,288億円)
いくら企業数・規模が大きい中国とはいえ目茶苦茶な数字です。国有企業に限ってみると以下のようになります。
2020年12月18日時点
デフォルトを起こした国有企業:8社
国有企業のデフォルト累積残高:519億9,700万元(約8,218億2,224万円)
デフォルトを起こした国有企業:8社
国有企業のデフォルト累積残高:519億9,700万元(約8,218億2,224万円)
1年で8社もの国有企業がデフォルを起こし、今年だけで「8,218億円」に達するのです。こんな事態が例えば日本で考えられるでしょうか? この「519億9,700万元」は2019年の「129億3,000万元」の「約4倍」です。
以下のデータも注目に値します。
2014年以降の債券市場で「AAA」格付けでデフォルトした債券数:46
2020年のデフォルト:32(69.6%)
2020年のデフォルト:32(69.6%)
なんと2014年以降、「AAA」格付けでデフォルトした債券のうちの約70%が今年発生しているのです。ここまで増えたのは、もちろんコロナ禍もありますが、ロールオーバー(借り換え)のための資金調達が困難になっていることも示唆しています。
アメリカ合衆国と中国の新冷戦によって合衆国市場での資金調達が難しくなり、また香港騒動などで中国への視線が厳しくなりました。これまでなら受け入れてもらえた、また需要があった借り換え債による資金調達が困難になっているのです。トランプ大統領の中国封じ込め戦略に効果があったことは、このデフォルト件数が如実に示しているともいえます。
先にご紹介したように『中国人民銀行』は慌てて巨額の資金供給に出ていますが、中国企業に対する世界からの見方は変わりません。どこまでそのような手立てで延命させることができるか、という話です。
中国人民銀行が緊急で1,450億ドルを投入!流動性に危険信号
2020年12月15日、中国の中央銀行『中国人民銀行』はMLF(Medium-term Lending Facilityの略:中期流動性ファシリティー)を用いて史上最大「9,500億元」(約1,450億ドル)を供給するという動きに出ました。...
(吉田ハンチング@dcp)