2020年12月15日、中国の中央銀行『中国人民銀行』はMLF(Medium-term Lending Facilityの略:中期流動性ファシリティー)を用いて史上最大「9,500億元」(約1,450億ドル)を供給するという動きに出ました。
「MLF」は商業銀行や国策銀行に担保を取って中期の資金を貸し出す制度です。
これは、中国の大企業が相次いでデフォルト・破産騒動を起こし、社債に売りが殺到するなど金融市場に混乱が起きたためです。なにせ信用格付けが「AAA」となっていた企業が平気で飛ぶわけですから、どんな企業が発行する社債も信用できません。
社債が発行できないと企業にお金が回らないわけで、そうすると当然お金の流れが止まり、その影響があちこちに波及。アテにしていたお金が入らないのでデフォルトが連鎖し、被害が一気に広がってカタストロフ……となる可能性があります。
これを食い止めるためには、なりふりかまわず当局がお金を突っ込んで流動性を確保するしかないわけです。
9,500億元というと日本円で「約15兆581億円」です(「1人民元=15.85円」)。これほどの金額を投入したのはそれだけ『中国人民銀行』が危機感を覚えたからです。しかし、根幹は中国企業のいい加減な経営にあることを忘れてはいけません。『中国中央銀行』がいくらお金を供給したとしても、それで中国企業の健全性が担保されるわけではない、ということもです。
(柏ケミカル@dcp)