韓国の造船業は最大手の3社でも赤字です。2020年下旬から「受注のジャックポット」と喧伝してきた割には、いまだにその成果は実際の業績に現れていません。
もうからなければシェアはどうか?
韓国の造船業は、親方五星紅旗の中国企業と受注デッドヒートを繰り広げてきました。しかし、安値競争で中国には勝てるわけがありません。そのため、一般のタンカーなどはすでに中国の手に落ちています。
毎度おなじみですが、造船・海運市況分析会社『クラークソンリサーチ』が興味深いデータを出しています。
2022年の造船市場についてです。
同社によると、2022年の全世界の船舶発注量は「4,193万CGT」※(ただし推計:以下同)。
韓国と中国のシェアはどうなったかというと……。
韓国:1,564万CGT(世界シェア37%)
※CGTは「Compensated gross tonnage」の略で「標準貨物船換算トン数」と訳されます。船舶の建造工事量を表す指標です。
2022年も2021年に続いて中国に世界一の座を譲りました。
韓国は2018~2020年まで世界一のシェアを誇ってきたのですが、2021年に中国に蹴り出されて2年連続で中国の後塵を拝することになりました。
上記のとおり、そもそも中国と安値の叩き合いで勝てるわけがありません。人権がなく、補助金じゃぶじゃぶの国営企業が幅を利かせている国なのですから。
仕方がないので、2021年からは「ならば技術で勝負だ」とし「LNG運搬船では勝っている」などと強弁してきました。
韓国メディアにいわせると、これは「業界の棲み分け」だそうです。
ところが、『クラークソンリサーチ』のデータによると、そのLNG運搬船のシェアも危なくなってきています。
韓国:1,012万CGT(世界シェア70%)
中国:440万CGT(世界シェア30%)
「なんだ、まだ2倍以上の差があるじゃないか」と思われるかもしれませんが、これが中国の恐ろしいところで、実は前年2021年には中国のシェアは「8%」しかなかったのです。
これが2022年には「30%」。この勢いでは韓国が中国に追いつかれるのも時間の問題かもしれません(先にご紹介したとおり韓国は自国内だけで受注した仕事を回せず中国に下請けに出しているくらいです)。
――というわけで、後ろから山姥に追いかけられている韓国。まもなくLNG運搬船でも追いつかれてしまう可能性があります。
念のために付記しておきますが、LNG運搬船でも特に韓国に技術があるわけではありません。フランスなどに特許料を支払って製造しています。
(吉田ハンチング@dcp)