「統一は大当たり」と聞いても、韓国ウォッチャーでもなければ「ナニそれ」と思われることでしょう。
そもそも朴大統領の発言から始まった
朴槿恵(パク・クネ)大統領が2014年新年の挨拶で「統一は大当たり」と述べ(正確には「統一は大博」と発言)、南北朝鮮が統一されればバラ色の未来が来るようなイメージを語りました。朴大統領がドレスデンでの有名な演説を行ったのもこの年の03月です。
いまだに韓国では「南北が統一されたら、北朝鮮の労働力と韓国の技術力が合わさった人口2倍の大国が出現する」的なことを言う人がいますが、出現しません。
統一のための費用はどうやって捻出するつもりなのか、現実的なことを全く考えていない夢物語に過ぎません。
南北が統一して出現するのは、貧民を抱えて経済的に苦労することになる国です。
統一ドイツが国が左前になるのを防ぐために民間・公共投資合わせて「4.0~5兆ドル」が必要だったことを知らないのでしょう。
統一朝鮮国には恐らく4兆ドル規模の資金が必要ですが、そんなお金は韓国にはありませんし、誰も出しません。ですから、その国は貧民を抱えて経済的に苦労することになるのです。
それはともかく、この「統一は大当たり」をキーワードに(よせばいいのに)ファンドが乱立したのです。
もう何度だっていいますが、韓国というのは何かというと「なんとかファンド」を作りたがるヘンな国で、先にご紹介したとおり代々の政権ごとに「なんとかファンド」が濫造されました。
「統一は大当たりファンド」はその一例です。
「統一ファンド」で資金流出が止まらない
で、これが今になって清算の危機に瀕しているというのです。本件を報じた韓国メディア『ソウル経済』の記事から一部を引用します。
「統一は大当たり」という趣旨で設立された統一ファンドが清算の危機に置かれている。これまで南北関係が停滞して進まず、統一ファンドから大規模な資金が離脱したためである。
(中略)
24日、韓国ファンドの評価によると、国内で組成された統一ファンド4つの純資産総額は、23日時点で現在181億ウォンと集計された。
統一ファンドは年初以来198億ウォンの資金が流出し、1年(300億ウォン)、3年(604億ウォン)などの資金離脱が加速している。
(中略)
2014年、朴槿恵前大統領がドイツのドレスデンで「統一は大当たり」と言った後、20余りの統一ファンドが発売された。
(中略)
政権が変わって、南北関係が急進展されるように見えたが、再び振り出しに戻るなど、これといった進展がなかったため、投資家の関心が消えた。
ほとんどの統一ファンドは資金離脱で清算され、現在4つのファンドが運用されているが、これも資金離脱が続いて消滅する危機に瀕しているのだ。
(後略)
南北関係が全く進展しないので、「統一は大当たりファンド」への熱もすっかり冷めた皆さんが1年で300億ウォンの資金を抜いて、その勢いが止まらないので、残った4つのファンドも清算するしかないのでは――という話なのです。
一方で文在寅大統領が任期最後のラストスパートで、どうにかして南北首脳会談を開こうとしています。
韓国の皆さんは、文大統領の動きにも大して期待をかけていないということなのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)