2019年07月、日本は韓国に対する「輸出管理強化」措置を開始。
半導体に必須の素材「フォトレジスト」「フッ化水素」「フッ化ポリミイド」は個別許可を申請するようにと、韓国に対する扱いを変えました。
これに韓国は猛反発。NoJapan運動が起こり、文在寅大統領は「二度と日本には負けぬ」と述べ、素材・部品・装備の国産化を進めるとしました。
実際、2019年以降、この素材・部品・装備の国産化がどこまで進捗したかを文政権では確認してきました。また、韓国の産業通商資源部は素材・部品・装備の輸出入について統計を取り続けています。
日本依存は減った!でもね……
この統計によると、素材・部品・装備における日本依存は減少しています。韓国の皆さんは喜ぶかもしれませんが、しかし……中国への依存が上がっているのです。
以下が2020~2022年の素材・部品・装備における日本・中国への依存度の推移です。ただし、2022年は01~07月の累計です。また、依存度は素材・部品・装備の輸入額を分母に、日本からの輸入額、中国からの輸入額をそれぞれ割りました。
上掲のとおり、日本への依存度は2020年「17.2%」あったのですが、2022年には途中経過ながら「15.3%」となり、右肩下がりです。
ちなみにこの「15.3%」をとって産業通商資源部は「対日依存度が過去最低レベルに落ちた」としています。
逆に中国への依存度は2020年の「27.4%」から「29.5%」に上昇し、依存度3割に近づいています。
「日本への依存度が減った!わーい」かもしれませんが、中国への依存度を高めてどうするんでしょうか。
日本と中国、どちらが怖い輸入相手国でしょうか。
日本は諸外国と同じように公明正大に輸出先を申請するなら輸出を認めますよ、という国です。対して中国は「あいつむかつく。輸出は認めねぇ」なんてことを平気で行う中国共産党が仕切っている国です。
いくら「日本に負けない」だか知りませんが、そんな危ない国への依存を高めるとはなんと愚かなことでしょうか。
こういう点まで気を配るのが経済の安全保障でしょうに。
日本企業は輸出金額を増やしています!
ちなみに、「韓国の対日依存度が減少して、日本企業は大丈夫なの?」と心配するむきもいらっしゃるでしょうから、その質問への回答も記載しておきます。
全く心配ありません。
というのは、日本から韓国への素材・部品・装備の輸出額は増加しているのです。以下をご覧ください。
2020年:340億ドル
2021年:393億ドル
2022年:233億ドル
※2022年は01~07月の累計
2022年は01~07月の途中結果ですが「233億ドル」まできていますので、このまま推移すると通年で「399億ドル」に達すると見込まれます。
ですので、日本企業から韓国への素材・部品・装備の輸出額は増加傾向にあります。ご安心ください。
依存度は「日本からの輸入額 ÷ 総輸入額」で計算していますが、そもそも韓国の素材・部品・装備の輸入額が増えているので、日本からの輸入額が増加しても割合としては小さく出るだけなのです。
ですので、産業通商資源部がこれをもって「対日依存度が過去最低」といったしても、むしろ素材・部品・装備の輸入額が増加していますが、そちらは大丈夫ですか?と聞きたいところです。
もっとも、『サムスン電子』が中国工場で作った半導体の半製品をいったん韓国に輸入し、それを完成品にして中国に輸出するという国際収支上負荷のかかることを行ったりしていますので、このようなことにもなるのですが。
また、「日本への依存度が減ったー」といえたとしても、素材・部品・装備の国産化がどの程度進んでいるのかが問題です。確かな数字が出たらまたご紹介いたします。
(吉田ハンチング@dcp)