日本のEEZ内に盛大にミサイルを打ち込んでいる北朝鮮ですが、一方で国民は極寒の中、餓死者すら出ているという惨状となっています。
2023年02月20日、韓国の統一部は定例ブリーフィングで北朝鮮の食糧事情が非常に苦しい状況に陥っていると指摘しました。
具報道官は「関係機関間で北朝鮮の食糧事情評価を緊密に共有しており、一部地域で餓死者が続出するなど、食糧難が深刻だと見ている」と述べましたが、これは5日前に統一部長官である権寧世(クォン・ヨンセ)さんが述べた話と矛盾するのです。
2023年02月15日に行われた国会外交統一委員会全体会議で、権寧世(クォン・ヨンセ)統一部長官は「餓死者が続出するほどではないとみている」と話しています。
どっちなんだ、という話ですが、さすがに韓国メディアも「おかしいだろ」と思ったらしく突っ込みました。
具報道官の回答は「(長官の話は:引用者注)苦難の行軍当時ほど大規模な餓死者が発生する状況ではないとの趣旨で答えた」でした。
いい加減な現状把握としかいえませんが、「苦難の行軍」当時ほどではないにしろ、餓死者が続出していれば大問題です。それでも国民そっちのけでミサイルの乱射に励んでいるのですから、金ちゃん王朝の三代目もいい気なものです。
また、この餓死者続出の状況で、北朝鮮がWFP(国際連合世界食糧計画)に支援を公式に求めたかどうかが注目されています。権長官は「北朝鮮からのWFPへの要請があった」としたのですが、これが本当なのかどうか分かりません。
権長官のあやふやな話について、具報道官は「長官と国際機関首長との面談に関して詳細な内容を明らかにすることは適切ではない」前置きして、「ただし、WFP事務総長との面談の過程で、北朝鮮当局の公式的な要請とはいえないが、北朝鮮側がWFPの支援を希望する情況を確認した」と述べました。
むにゃむにゃとした話し方で、結局「正式な要請があったのか、なかったのか」お茶を濁しました。
「長官と国際機関首長との面談に関して詳細な内容を明らかにすることは適切ではない」のなら、権長官自身が語った話はなんだったんだ、となりますが、どうも権長官が明らかにしたことで何か不都合があった模様です。
例えば「金正恩総書記のメンツを潰した」と北朝鮮にねじ込まれた、などです。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権で統一部長官になった権寧世(クォン・ヨンセ)さんは、『ソウル大学 法学大学』同『大学院』卒で、ソウル地検、大検察庁と検察エリート道まっしぐらの経歴。ハーバード大学ケネディスクールで行政学の修士学位を獲得もしています。検察官をやめた後は政治家となり、現在は第21代国会議員(計4選している)。大統領の尹錫悦(ユン・ソギョル)さんは2年後輩で、40年来の付き合いがあるという人物です。
2023年01月15日には、「今年は何としても北朝鮮との対話を始められるようにする方針」と述べていますので、北朝鮮と対話を行うために自身の発言をうやむやにしたいのかもしれません。
しかし、だとすれば先の「北朝鮮がWFPに食料支援を求めた」という話は信用できることになります。北朝鮮はやはり餓死者続出で二進も三進もいかなくなっているのです。ミサイルは飛ばしていますが。
(吉田ハンチング@dcp)