韓国では尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が罷免寸前で、憲法裁判所による結論は早ければ2025年03月11日、あるいは14日に出るといわれています。
弾劾訴追が合憲とならば、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は即時罷免。
次期大統領選挙に突入します。罷免から60日以内に選挙を行うこと――となっていますので、例えば03月14日に大統領が罷免されたら、05月旬には選挙というスケジュールになるわけです。
ここで気になるのは、次期大統領の最有力候補とされる『共に民主党』党首・李在明(イ・ジェミョン)さんです。
彼は5つも裁判を抱えていますが、最も進行の早い「大統領選挙でウソつきしたね、あなた」裁判の第2審判決が03月26日に出ることが確定しています。
この裁判で一審と同じく「懲役1年、執行猶予2年」が確定しても、次の大法院(最高裁判所でも)があります。ただし、大法院では基本事実関係は争えませんので、二審で一審と同じ判決が出たら、大法院までいっても負けはほぼ確定です。
「懲役1年、執行猶予2年」が確定すると被選挙権を失いますので、李在明(イ・ジェミョン)さんは大統領選挙には出られません。
そのため、李在明(イ・ジェミョン)さんとしては、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の罷免が早く決定し、早く大統領選挙に突入し、早く大統領になってしまわなければなりません。
被選挙権を失う前に――です。
タイムラインは以下のようになります。
03月26日:李代表の選挙法違反に関する控訴審(第2審)判決
04月末:選挙法違反に関する上告審開始(上告状・上告理由書の提出期限を厳守した場合)
05月中旬:早期大統領選挙
06月26日:選挙法違反に関する上告審判決の言い渡し予定
――つまり、第2審で李在明(イ・ジェミョン)さんの有罪が確定しても、(当選したとして)大統領になってから大法院での最終判断が出るスケジュールになのです。
「大統領になれば逃げ切れる」と思っている
李在明(イ・ジェミョン)さんは最近、あるテレビ番組に出演し、自身の裁判について以下のように述べました。
「大統領に当選すれば刑事裁判は停止されるというのが多数説だ」
と発言しました。
要するに、自分に対してもそうあるべきだ――としたわけです。
韓国の憲法・第84条には、
<大統領の不訴追特権>
大統領は、内乱または外患の罪を犯した場合を除き、在職中は刑事上の訴追を受けない。
――と規定されています。
※ではなぜ尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が逮捕拘束されたのかというと「内乱の首魁 = 尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領」とレッテルを貼って、内乱の罪で裁こうと『共に民主党』が画策。司法がその手下になって動いたからです。
しかし、弾劾訴追を国会で可決した後、『共に民主党』は訴追理由から「内乱罪」について外しました。じゃあ、なぜ尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は訴追され、逮捕・拘束されているのか?――が問われなければなりません。
つまり、国会(=『共に民主党』)は大統領を逮捕して排除するには「内乱罪」のレッテルを貼るしかない、と確信犯で内乱罪を言い立てて弾劾訴追を可決。後出しジャンケンのように「内乱」について訴追理由から外したのです。
大法院は「まだ考えていない」
では、李在明(イ・ジェミョン)さんが大統領になったとして、裁判は停止されるのでしょうか?
ご注目いただきたいのは、第84条の「在職中は刑事上の訴追を受けない」です。
李在明(イ・ジェミョン)さんは、この「訴追」には「裁判も含まれる」と考えているようです。
しかし、通常、「訴追」とは「起訴」を意味します。この中に進行中の裁判も含まれるのか?――です。
憲法学者の意見は分かれています。
1.「訴追」とは「起訴」を指すため、在職前に起訴された裁判は継続されるべき
2.不訴追特権の趣旨が「大統領の安定した国政運営」にある以上、在職前に起訴された裁判も停止すべき
「1」の場合、さらなる問題が生じます。
「大法院で李在明(イ・ジェミョン)さんの被選挙権剥奪の判決が出たらどうする?」――です。
この場合、被選挙権のない人物が大統領に成りおおせたことになるのです。このような状況になったら、李在明(イ・ジェミョン)大統領の権限はどうなるのでしょうか。認められるのでしょうか。
『朝鮮日報』の報道によれば、韓国の大法院の関係者は「まだこの問題について議論をしていない」と話した――とのこと。憲法の規定についての問題ですので、当然最終判断は憲法裁判所に持ち込まれるものと考えられます。
まだ考えていないというのは、そうかもしれませんが少なくとも第2審の判決が出て、李在明(イ・ジェミョン)さんの有罪が濃厚になった時点で対策を考えておかないとマズいでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)