韓国は銀行業が非難されるヘンな国です。利息でもうけると「庶民が高金利で苦しんでいるときに……」などというおかしな罵声が飛んできます。
高金利のときにお金を借りなければ済む話なのに、それができません。あんたたちの生活は「借金ありきなのか」――と驚かされますが、実態は全くそのとおりなのです。
no debt no life――が韓国の皆さんです。
上掲の先記事にでご紹介したとおり、ELSに投資した損失を金融機関が補填するという、世界的に見てもあり得ない判断を金融監督院が行っており、資本主義が成立しない国なのではないかとさえ思わされます。
その韓国でまた銀行を非難するような声が上がっています。
銀行のもうけが大きくなるような事態になってきたからです。
貸出金利と預金金利の差が拡大して……
そもそも銀行という商売は、預金を集めてこれを貸し出し、貸出金利と預金金利の差でもうける商売です。
先にご紹介したとおり、貸出金利は上昇しています。これは、韓国の金融当局が家計負債が増加するのを抑えるために、「金利を上げろ」と金融機関に指導したからです。
2024年06月03日には、金融監督院は国内銀行の副行長を呼び「家計ローンを無理に拡大することは望ましくない」と警告しました。これだけではなく、15日からは現場点検を始めています。
このような圧力を掛けているのは、5大銀行(国民・新韓・ハナ・ウリィ・農協)における06月の家計ローン残高が、対前月比で5兆3,415億ウォンも増加したためです。
2021年07月(6兆2,000億ウォン増加)以来、2年11カ月ぶり最大の増加幅だ。
何度もご紹介しているとおり、住宅ローン残高が急増。金融当局が慌てて阻止しようとしている――というわけです。
――で、5大銀行は韓国政府の圧力に負けて、住宅ローン金利を上げにかかりました。
『国民銀行』:0.2%ポイント引き上げ
(07月03日に0.13%ポイント引き上げたばかりで18日にまた上げた)
『ウリィ銀行』:0.20%ポイント引き上げ
etc.
このように貸出金利は上昇していますが、預金金利はステーブル(というより下げ方向)で推移しています。このため、貸出金利と預金金利の差が拡大する方向で――つまりは、銀行のもうけが大きくなる方向で動いているのです。
さっそく韓国メディアには「また銀行がもうけやがる」という主旨の記事が出ています。
(前略)
銀行は貸出マージンを増やす絶好の機会をつかんだ。預貸マージンは、貸出から発生する利息収入から預金金利で支出を差し引いたもので、銀行の利息収益の源泉だ。当局の容認の下、貸出金利は上昇し、市場金利に従う預金金利は下落しているからだ。
(中略)
今年、銀行圏が再び過去最高の純利益を出せば、当局の責任論が浮上する可能性があるという批判も出ている。
政府が事実上、銀行が利息収益を高めることができる環境を整えてくれたからだ。
高金利が続き、国内銀行が利子ビジネスで稼いだ利子純利益の規模は昨年32兆2,000億ウォンで、2010年以来の最大水準を記録した。
(後略)
韓国では銀行業など行わない方がいいです。
政府にいいように動かされ、揚げ句の果てに「もうけやがって」などと石を投げつけられることになるからです。
(吉田ハンチング@dcp)