韓国で投資熱が高まり、「個人投資家」が韓国史上初というほど株式などにお金を突っ込んでいるという件を、Money1でもご紹介してきました。
ここにきてその弊害が悲劇となって現出したようです。
2020年04月25日、韓国メディア『マネートゥデイ』に「[独占]涙に濡れた原油レバレッジETN、投資家暫定損失4,000億」という記事が出ました。
韓国の個人投資家が特に過熱気味に投資した原油先物ETNが、このところの原油価格の下落に従って大暴落し、価値が(事実上)「0」になってしまったというのです。
この当該ETNは上場廃止、早期償還となるそうで、つまりこれにお金を突っ込んだ投資家は資産をほとんど全部すっ飛ばしたわけです。
以下に記事から引用します。
先月個人投資家の爆発的な人気を呼んで投機過熱現象が起こった原油先物レバレッジETN(上場投資証券)が事実上、上場廃止手続きに入った。
レバレッジETNが連動する原油先物指標の価値が0に近くなり、時価総額約4,300億ウォン規模の4つのレバレッジETN証券が紙切れになる危機に瀕している。
投資家暫定損失額は4,000億ウォン以上になる見通しだ。
(後略)⇒参照・引用元:『マネートゥデイ』「[独占]涙に濡れた原油レバレッジETN、投資家暫定損失4,000億ウォン」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
面倒くさい人は飛ばしていただいても大丈夫ですが、ETNというのはある指標(INDEX)に連動して利益が出るように設計された金融商品です(ただし現物資産の裏付けがないのでその分信用リスクが高い)。
今回の悲劇を招いたETNは、原油先物の指標と連動するようにできていて、簡単にいうと原油先物の価格が上がれば利益が出ますし、下がれば損失が出るわけです。
また、レバレッジを効かせてあるETNだったので、指標の下落以上に損失が出たのです。レバレッジというのは「てこ」のことですが、要は指標の動きを増幅して連動するように設計された金融商品です。
例えば、実際の原油先物の指標の値動きが10上がれば、20の利益が出るというふうに組成されているのです。うまくいけば非常に大きな利益が上がるのですが、問題は下落時です。
例えば逆に10下がれば、20の損失が出るわけです。今回のように原油価格が大暴落すると阿鼻叫喚の地獄絵図になってしまうのです。
ちなみに、同記事で紹介されているドボンになるというETNは以下の4つです。
「新韓レバレッジWTI原油先物ETN」
「未来アセットレバレッジ原油先物混合ETN」
「三星レバレッジWTI原油先物ETN」
「QVレバレッジWTI原油先物ETN」
試しに「新韓レバレッジWTI原油先物ETN」のチャートを見てみますと、以下のようになります。
まさに「なんだこりゃ」なチャートですが、2020年02月25日に「9,495ウォン」だったのに04月22日にはなんと「650ウォン」です。資産の93.16%が吹き飛んだわけです。
(0よりはましですが)早期償還(許容できる損失を超えた場合残った資産を返却するわけです:それぞれ契約条件で決まっています)で済むETNもあるようで、同記事では「暫定損失」を4,000億ウォンとしています。
つまり、4,300億ウォン突っ込んで300億ウォンしか残らないというわけですから、資産の「93.19%」が消失したのです。
韓国が四月危機に見舞われている最中だというのに恐ろしい話です。
(柏ケミカル@dcp)