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韓国の国策銀行『産業銀行』資本がピンチ。政府が2兆ウォン緊急輸血――という話

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韓国メディア『ソウル経済』がスクープを出しています。韓国政府が国策銀行である『産業銀行』に2兆ウォンの資金を投入する――というのです。


↑『産業銀行』はすぐに企業から「飛びそうだからお金出してくれ」といわれる気の毒な銀行です。『大韓航空』『アシアナ航空』『斗山重工』『大宇造船海洋』など挙げればキリがありません。

理由は、健全性が危なくなってきたからです。2023年第3四半期末時点で、『産業銀行』の自己資本筆は「13.99%」まで下がりました。

『国際決済銀行』(Bank for International Settlements:略称「BIS」)の定める「バーゼルⅢ」によれば、国際金融業務を行う銀行については自己資本率「8%以上」となっています。

「自己資本を分子、保有資産等のリスクの大きさを示す数値を分母として算出される比率のことで、銀行等の経営の健全性を示す」と『日本銀行』は説明しています。

「13.66%」であれば、まだいけそうなものですが、韓国政府が動くということは、資本の中身に問題がありそうです。そもそも『産業銀行』は貸し出し超過に陥りがちです。

というのも、韓国企業がすぐに火の車になるのと、金貸してくれ状態に陥り、国策銀行が資金投入を求められるからです。コロナ禍に韓国でも大手の企業がこぞって「金貸してくれ」となったのはMoney1でもご紹介してきたとおりです。

『産業銀行』は通常資本金の10倍ほどを貸し出しています。

現在、半導体企業や車載用バッテリー企業などが「海外に工場を造るから、お金貸して」ですし、例の『泰栄テヨン建設』のワークアウト関連で債権団の主幹も務めています。

不景気で傾いた企業にお金を貸し込んで支える必要もあり、このままではいかん(つまり自己資本比率を計算する上での分母ばかりが増えていく)――と判断したものと思われます。

いささかMMT的な物言いになりますが、しかしどこからその2兆ウォンを持ってくるのか?――です。

『ソウル経済』によれば、「企画財政部と金融委員会は、『韓国土地住宅公社』(LH)株など現在保有している公企業株を現物出資する」とのこと。つまり、2兆ウォンの現金を出すのではなく、保有株式で出資して、それを『産業銀行』に組み入れるというのです。

なにせ、韓国政府は2024年に「主要政策金融機関による資金供給目標」を2023年比で3.4%増やした「212兆ウォン」としています。この資金供給をさせてバーゼルⅢ規制を破ることなっては困るので、資本を増強しないと仕方ない――というわけです。

お金を出させるために資金を入れるのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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