2024年09月27日、中国・国務院国有資産監督管理委員会の副主任である王宏志さんは、「国有企業改革深化・レベルアップ行動」特別推進会議において――、
国有企業の管理職に対して「末等調整(末等调整)」、「不適任者の退出(不胜任退出制度)」を広範囲に、そしてより深く推進する必要がある
――と述べました。
何をやろうとしているのかというと「人切り」です。
「本格手な人切りを行う」宣言
「末等调整」というのは、中国語で「最下位調整」や「下位者調整」と訳されます。この制度は、企業や組織内での業績評価に基づいて下位にランク付けされた従業員に対して、配置転換や降格、さらには解雇を行うことを指します。
「不胜任退出制度」は「不適任退出制度」と約されますが、企業や組織内での役職や業務において「不適任」と判断された従業員を、配置転換、降格、または解雇するための制度です。
具体的には、業務の遂行能力が期待に応えられない、または職務に対する適性がないと評価された従業員が対象となります。
簡単にいえば「人事考課」ともいえますが、中国の場合にはこれが解雇にもつながることが問題です。
王副主任は以下のようにも述べています。
「この行動を本格的に始めていない企業は、今年末原則として実施を開始しなければならない」
「単純に退出割合を設定したり、一律の基準を適用したりすることを避け、本当に効果的なインセンティブと強制力を持たせることが重要だ」
国有企業での人切りを本格的に始めるという宣言に他なりません。
また、今回の王副主任の発言は、中国の国有企業には余剰人員が大量に存在し、深刻な人員過剰の状況にあることを物語っています。
一番危ないのは、中国共産党にコネクションを持たない一般人です。このような制度の下では、中国共産党によって恣意的に職場からの「退出」を余儀なくされる人が出るでしょう。コネがなければ生きていけない社会になっていきます。
中国のディストピア化は一歩一歩進んでいます。ディストピアはSF映画や小説の中にあるのではありません。今そこ、中国がまさにディストピアなのです。
ちなみにディストピア(dystopia)というのは、ユートピア(utopia:理想郷)の対義語。「抑圧的で不快な社会や、破綻した未来を表現する概念」で、「理想とは正反対の社会」を指します。単に監視社会のことではありません。