中国はアフリカ、東南アジアなどの後進国においてインフラ建設などに資金を供給しています。しかし、その国が契約を履行できない場合には、債務保全を名目に資産の差し押さえを強行しています。安易に中国から資本を入れ、大事な国の資産が中国の手に渡るという事態が後進国で多発しているのです。
最も有名なのはスリランカの例です。2016年、スリランカは債務不履行のため、ハンバントタ港の99年間の運営権を中国企業に渡してしまうという事態に陥りました。
持続不可能な融資で貧困国に負担をかけ、その上、自国の「領土」を拡大しょうという中国の姑息極まるやり口です。アメリカをはじめ先進諸国は中国の卑劣な「融資トラップ」を問題視し、非難していますが、当の中国はその非難を否定してきました。
ケニアで報じられた卑劣極まる「契約書の内容」
ケニアの『Daily Nation』誌は中国との債務契約がどのようなものかをスッパ抜く記事を掲載しました。この記事では、中国と結んだ「標準ゲージ規格の鉄道を建設する協定」がケニアの主権、資産を毀損する可能性があることを警告しています。
この契約には、
・借り手(ケニア)もその資産も、主権またはその他の理由で本契約に基づく義務に関する仲裁、訴訟、執行またはその他の法的手続きから免責の権利を得ることはできない
という条項が入っており、もし債務不履行になったらその国の主権も及ばないものとされているのです。つまり、自国に建設された鉄道であっても貸し主である中国が好きに扱っても文句は言わせないというわけです。
また、さらにひどいのは、
・ローンに関するいかなる紛争も中国国際経済貿易仲裁委員会(Cietac)を通じてのみ北京で解決される
という条項があって、中国と揉めてもケニア自身が解決することはできないのです。共産党の一党独裁で国際法を守るのかどうかも怪しい中国です。中国の設置した委員会なんかに紛争解決をもちこんでも、どんな結果になるかは火を見るよりも明らかでしょう。
ちなみにこのスッパ抜きは、契約書に「貸し手(中国)の事前の書面による同意なしに、借り手は、適用法によって要求されない限り、本契約に基づくまたは本契約に関連するいかなる情報も第三者に開示してはなりません」という条項があるのに行われています。
いかに記者が危機感を持ってスクープしたのかが分かります。この契約をもってしても中国という国がいかに信用できない「貸し手」であるのかは明らかです。
⇒引用元記事:『Dilay Nation』「SGR pact with China a risk to Kenyan sovereignty, assets」
https://www.nation.co.ke/news/Hidden-traps-in-SGR-deal-with-China/1056-4932764-ebw46r/index.html
(柏ケミカル@dcp)