中国「クール・チャイナ」と言い出す。「西洋の若者はますます中国に対してオープンになっている」

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経済が傾いて給与もきちんと支払ってもらえず、「どうすんだコレ」という袋小路に陥っている中国。英語版中国共産党の御用新聞『Global Times』が面白い記事を出しています。

記事タイトルが「Scholars call for popularizing ‘Cool China’ to bridge cultural gaps(学者ら、「クール・チャイナ」の大衆化で文化的ギャップの橋渡しを呼びかけ)」です。

記事から一部を引用すると、以下のような具合です。

西洋の若者たちはますます中国に対してオープンになっており、中国研究者は学問的な「象牙の塔」から出て、書籍、映画、ビデオゲームなど身近な形式を通じて、中国の何千年にもわたる知恵や物語を広めるべきだ

――そう語ったのは、オックスフォード大学の元教授でシノロジストのロバート・チャード氏である。

チャード氏は、中国福建省で土曜日に開催された「武夷フォーラム」において、中国新聞社の取材にこう述べた。

チャード氏は、『Black Myth : Wukong(黒神話:悟空)』『三国志』『三体』などの文化IPが、世界に『クール・チャイナ』を発信していると語った。

彼は、外国の人々が娯楽を通じて中国文化に引き込まれていることを強調。

例えば中国のゲーム『Black Myth : Wukong』は、その技術力で国際的なゲーマーの注目を集めた後、中国神話のキャラクター孫悟空の物語へと彼らを誘った。

イギリスでは、『三国志』のゲームで遊んでいる子どもたちが劉備や関羽といった歴史上の人物に興味を持ち、中国史を学び始めるきっかけになっているという。

劉慈欣のSF小説『三体』の英訳版や、それを基にした最近のテレビドラマもまた、世界の中国観に大きな影響を与えている。
(後略)

⇒参照・引用元:『Global Times』「Scholars call for popularizing ‘Cool China’ to bridge cultural gaps」

「西洋の若者たちはますます中国に対してオープンになっている」のだそうです。

『西遊記』の孫悟空、『三国志』、『三体』がキラーコンテンツだというのも面白い話です。

孫悟空という名前が西洋人によく知られているのは、むしろ鳥山明先生の『ドラゴンボール』のおかげでしょうし、そもそも『西遊記』は神話などではありません。

中国語圏以外で最も『三国志』(という物語)を愛しているのは、恐らく日本人で、その素地は江戸時代に読本を通じて庶民にまで広がりました。

室町時代にはすでに日本に入ってきていたと考えられる『三国志演義』の、初の日本語訳本である『通俗三国志』が世に出たのは1689年(元禄2年)のこと。

これが大ヒット。江戸時代に広がった『三国志』の人気は、その後も受け継がれます。

昭和時代になって、吉川英治先生(1939年~1943年に新聞連載)の『三国志』のヒットを生み、横山光輝先生の漫画版、光栄のゲーム『三國志』など、現在に至るも連綿と受け継がれています。

そもそもゲーム『三國志』が日本でヒットしたのは、日本人に三国志に対する理解と愛情があったためでしょう。ゲームから入った西洋人が『三国志演義』にまで至ってくれるといいですね。

『三体』は日本でも話題になったSF小説です。

記事では「それを元にした最近のテレビドラマもまた、世界の中国観に大きな影響を与えている」と書いていますが、『三体』のNetflix板はわずか8話しかありません。尺がないためか、原作と比較するとずいぶんディテールを飛ばしており、中国語版テレビドラマ(30話ある)と比べても、とても短いです。

Netflix版はむしろインテリが吊るされる「文化大革命」の描写が(中国でも)話題になりました。最近の若い世代は「文化大革命」で何が行われたのか知らない人が多いでしょうから、確かに中国観に大きな影響を与えたかもしれません。

「クール・チャイナ」……「外国の人々が娯楽を通じて中国文化に引き込まれている」のだそうです。

(吉田ハンチング@dcp)

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