【機密解除】ラトクリフ国家情報長官の書簡。大統領選挙には中国の不当な影響があった

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アメリカ合衆国ジョン・ラトクリフ国家情報長官のサインの入った「Views Of Intelligence Community Election Secuirity Analysis(選挙のセキュリティーについての情報担当当局の見解」というリポートが機密解除されました。文書の日付けは2021年01月07日です。

ひと言でいえば、

議会に送付された「大統領選挙についての報告書」では、「中国が不当な選挙介入を行い、影響力を行使しようとした」という点についての主張が弱められている

この中国の不当な介入については強調しないようにとCIA上層部から分析官へ圧力が加えられた

というものです。昨年にラトクリフリポートの公開が延期されたことがありましたが、この書簡の公開によって、これはCIAとの意見調整がつかなかったためだとの推測が補強されました。

以下がその書簡です(訳文はその下に入れました)。

以下が上掲の訳文です(筆者:意訳)。

中国に関する最も機密性の高い情報の全てに目を通している私個人の見解としては、インテリジェンス・コミュニティ(IC)の分析官の多数派が表明した見解が、2020年の合衆国大統領選挙に影響を与えた中国政府の努力を完全かつ正確に反映しているとは言えない。

ICの分析担当オンブズマンは報告書を出している。以下で何度か参照するが、その報告書の中では、中国が及ぼした選挙への影響を政治家することについての暴露、情報に基づいて異論を唱えた分析官へ圧力が加えられたことについての暴露が含まれている。

オンブズマンの報告書は、このインテリジェンス・コミュニティ・アセスメント(ICA)と同時に議会に送付されているが、ここでは取り上げないが、選挙安全保障のついての情報については深く掘り下げている。しかし、中国の報告に関しては以下に概説するように、より広範囲にわたっていると懸念を示している。

全てのICの指導者層は、「情報に裏打ちされた反対意見」を推奨する文化をコミュニティー内に持つべきである。

よって私は、国家情報長官の私の役割において手本となることを示し、コミュニティーをリードし、多数派、少数派の意見に併せて私の分析的評価も提供することが責務であると考えます。

この書簡は、オンブズマンと協議の上、オンブズマンの意見を正確に反映し、適切な文脈を提示していることを確認するために作成したものである。

選挙に影響を与えるために行なった中国の行動について、ICAで示された多数派の意見はいくつかの理由から的を外している。

分析基準BはICに「政治的配慮からの独立」を維持するよう求めている。これは、オンブズマンが書いたように「超党派的な立場」にあるといは特に重要である。しかし、またオブズマンは次のように述べているのだ。

中国の分析官は「中国の行動を不当な影響力、また干渉」と評価することに躊躇していた、と。これらの分析官は中国の分析官を名指ししないのだ。このような行動は「分析基準B:政治的配慮からの独立性(IRTPA SECTION 1019)違反である。

さらに、中国の選挙に影響を及ぼそうという取り組みについては、代替案の分析(Analysis of AlternativesAOA何か他の選択肢があるのかを検討する作業のこと筆者注)が適切に許容されておらず、ましてや推奨もされていない。実際、オンブズマンは次のように述べている。

「8月の【外国人選挙の影響に関する国家情報員会評価】およびこれに関するIC報告において「AOA」を抑え込もうとする強い動きがあった」

これはTradecraft Standard4およびIRTPA SECTION 1019に違反している。国家情報会議(NIC)の関係者は、中央情報局(CIA)の関係者がNICの調整コメントを拒否し、NICAの起草中にAOAを軽視しようとしたと報告した。

さらにオンブズマンは、CIAの上層部が中国に対するAOAの視点を抑えるために「(分析官に)支持を撤回するように圧力をかける」行動をとったことを指摘している。

これについては国家情報担当官(NIO)によって政治化されたと見られていたと述べており、私も同意見である。

情報改革とテロ防止法(IRTPA)の分析基準Dでは、「利用可能な全ての情報源に基づいて調整された分析結果」が求められているが、多数派の見解に反映されている分析官の判断の中には、報告全体に基づいていないものがある、そのため、多数派の見解はIRTPA分析基準Dを満たしていない。

Tradecraft StandardIでは、分析官コミュニティーの使用する特定の用語には一貫性のある定義があり、その定義が適切に説明されていること――を求めている。さまざまな分析コミュニティーで選挙に影響を与える情報を収集してきた私からすれば、郡での選挙の脅威に焦点を当てている分析官のグループが、同じ悪質な行動を伝えるために異なる用語を使用している。具体的には、「影響力」と「干渉」という用語の定義と使用が、中国とロシアの分析コミュニティーで異なっている。分析オンブズマンは以下のように指摘している。

ロシアと中国の行動が不当な影響力であるのか、干渉であるのかという分析の違いを考えると、用語は分析コミュニティー全体で齟齬が生じている。

その結果、ロシアと中国の同様の行動が異なる方法で評価され、政策立案者に伝達されることで、ロシアは選挙に影響を加えようとしたが、中国は影響を加えなかったという誤った印象を与えることにつながっている。これはTradecraft StandardI違反である。

オンブズマンの報告書の中では「公平な分析を追求するための独立した分析手段を提供する」という私のコミットメントを正確に認めている。

1962年の国家情報当局の推定では、ソ連がキューバにミサイルを配備する可能性は低いということだった。当時のCIA長官ジョン・マコーンは、この分析に強硬に反対し、後にU2偵察機に飛行を命じ、実際にはミサイルが配備されていたことが発覚した。

私は、同じ精神を持って利用可能な全ての情報源に基づき、一貫した定義が使用され、政治的配慮や過度の圧力とは無関係に到達した――中華人民共和国が2020年の連邦政府選挙に影響を与えようとした、という少数派の見解を支持する。また、情報機関が上記で概説した中国の報道の根本的な問題に対処する必要性があることを、私の意見として加えておく。

サイン:John Ratcliff
日付け:2021年01月07日

(吉田ハンチング@dcp)

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