2024年12月03日深夜から04日未明にかけての、韓国・尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が起こした戒厳令騒動は、韓国の未来が「より早く転落していくこと」を決定付けた事件となりました。
面白いのは中国の反応です。
中国外交部など、公的機関は「韓国の内政問題なので」と一線を引いた対応をしているのですが……(事実上統制下にある)メディアでは韓国の騒動を揶揄するとも取れる報道を行っています。
「韓国と比較して中国は安定しているよなあ」という体制の誇示です。
これに対して、韓国メディアが敏感に反応。『朝鮮日報』は以下のように書いています。
中国政府は尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の弾劾騒動について特に立場を明らかにしていないが、中国官営メディアはリアルタイムで事態を報道し、自国の体制宣伝のきっかけにしている。
韓国の党派対立が深刻で、弾劾情勢の収拾が難しいことを強調しながら、一党体制の優位性を主張しているのだ。
(後略)
官営メディアなので、政府を持ち上げる提灯記事しか書きませんが、以下のように報じています。
『CCTV』CCTV(中国中央テレビ)
12月07日、韓国国会本会議の進行状況をリアルタイムで報じ、非常戒厳令の際に洪長元(ホン・ジャンウォン)元国家情報院第1次長が尹大統領から政治家の逮捕指示を受けたとする内容を伝えた。ネット上では、「弾劾案投票が行われる前に、韓国与党議員の絶対多数が退場し、尹大統領の弾劾案を阻止した。最終的に与党の妨害により弾劾案は通過しなかった」と報じました。
『新華社通信』
12月03日以降、尹大統領が戒厳令を宣言してから、戒厳軍の国会投入、国会の戒厳令解除案の議決、弾劾訴追案の提出、尹大統領の国民向け謝罪、国会正門前の抗議デモなどの動きをリアルタイムで報じています
『環球時報』/『Global Times』
連日「なぜ韓国の政治対立は深刻なのか」と韓国の党派対立の問題点を報じています。「政党間の反目は解消が困難なレベルに達しており、政策やイデオロギーの違いを克服するのは難しい」と評しました。『Global Times』は「弾劾阻止に成功すれば、韓国与党は尹大統領問題で主導権を握り、辞任を促し、与党の名誉も一部回復するだろう」と報じました。
中国語SNS上でも、戒厳令騒動の注目度は高く、「韓国大統領尹錫悦弾劾案投票開始」「韓国国会現場の激しい論争」が検索のホットワードとして上位に上がりました。
元『環球時報』編集長の胡錫進さん(出た!)が微博(Weibo)で「尹夫人が混乱の発端だ」と、よく分かっていない発言したことも大変に注目を集めました。
日本でも、世にもあほらしい「高級バッグ疑惑」が戒厳令の発端となった――なんていう人がいますが全然違います。これこそ北朝鮮の影がちらつく事案で、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんを大統領から引きずり下ろすために仕掛けられた「助攻」です。
主攻勢軸は、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんに隙がなかったため、見つからなかったのですが、今回の非常戒厳宣布でこれが火力を集中すべきポイントとなりました。その意味では、もはや金建希(キム・ゴンヒ)さんの疑惑などどうでもいいのですが、『共に民主党』はまだやる気です。
それはともかく、中国メディア(またSNS)が「韓国よりマシだわ」というのが、韓国メディアは我慢ならないようです。
しかし、独裁者に対してなんの批判もできない中国よりは、まだしも(まだしもですが)韓国の方がマシではないでしょうか。日本人からすれば「目くそ鼻くそ」ですけれども。
(吉田ハンチング@dcp)