『CNN Business』に非常に興味深い報道を出しています。
中国から外国人投資家が巨額資金を流出させています。以下に記事の一部を引用します。
政治やビジネスのリスク、他国での金利上昇などが重なり、世界第2位の経済大国である中国に資金を預ける魅力が薄れ、投資家は前例のない規模で中国を見放しつつある。
国際金融研究所(IIF)の最新データによると、中国では先月、175億ドル相当のポートフォリオが流出し、過去最高を記録した。
アメリカ合衆国に本拠を置く業界団体は、海外投資家によるこの資本逃避を「前例がない」とし、特にこの期間中に他の新興市場から同様の流出がなかったことを理由に挙げている。
流出したのは112億ドルの債券で、残りは株式であった。
中国政府のデータでも、ここ数カ月で海外投資家による債券市場の後退が記録されている。
中国中央預託証券によると、海外投資家は02月に350億元(55億ドル)の中国国債を純売却し、月間で過去最大の減少幅となった。
03月には売りが加速し、520億元(81億ドル)と過去最高を記録した。
(後略)⇒参照・引用元:『CNN Business』「Foreign investors are ditching China. Russia’s war is the latest trigger」
記事の元になっているのは、『IIF』(Institute of International Financeの略:国際金融協会)のデータですが、03月になんと175億ドル(約2兆2,372億円)もの資金流出が起こっています。
このうち債券が112億ドル(約1兆4,318億円)。株式は残りの63億ドル(約8,054億円)。
外国人投資家は巨額の債券、株式を売却して中国市場から去ったのです。
中国国債の売却も加速しています。02月は350億元(55億ドル:7,031億円)の売り越し。03月には520億元(81億ドル:1兆355億円)で過去最高を更新。
このように外国人投資家が中国市場から資金逃避を行っているのは、ロシアが無法に起こしたウクライナ戦争のためです。
中国は国際社会からロシアの味方と見られていますから、ロシアへの経済制裁が中国に飛び火する可能性があります。
ただし、地政学的なリスクだけではありません。
2022年04月初頭には、中国国債10年物の利回りが米国債の利回りを12年ぶりに下回りました。つまり、中国にお金を置いておくよりもアメリカ合衆国に移した方がいいわけです。そのため、中国国債は売られる奔流が起きたのです。
また、中国の感染症封じ込めによる都市のロックダウンが経済成長を明らかに鈍化させており、景気後退の可能性さえ示唆されています。そんなところにお金を投資するわけにはいかないでしょう。
――というわけで、中国からの資金逃避が巨大になっています。中国共産党政府がどのような政策を打ち出すのかが注目されます。中国はロシアの味方をしないわけにはいきませんので、経済制裁が飛び火する可能性だけはなくなることはないでしょうが……。
(吉田ハンチング@dcp)