銀行は、預金者から集めたお金を貸し出して利ざやを稼ぐ商売。ですので、集めたお金が全額銀行にあるわけではありませんし、ATMなどから吐き出されるお金さえ手元にあれば基本的に成り立つので、ギリのところまで貸し出しに回っていたりします。
しかし、いざというときのことを考えると「ある程度」は現金を持っていないと危険です。この手元に用意しておくべきお金については法律で定められていて、これを「預金準備」(準備預金)と呼びます。
「全預金額の何%を準備しておくこと(最低○%-最高○%など)」といった定め方で、この「○%」を「預金準備率」(あるいは準備率)と呼びます。
■日本の場合は日本銀行に預けます!
預金準備をしておきましょうという仕組みを「準備預金制度」(reserve deposit requirement system)といいますが、日本の銀行・長期信用銀行・外国為替銀行・相互銀行・信用銀行は、この制度、法律に従い、預金準備を日本銀行に預けておかないといけません。
日本銀行が預かっておけば、「預金準備を確保してますよ」と言っていたのに、ふたを開けてみたらなかった! みたいな事態が避けられますからね。
日本銀行が公表しているデータによれば、「定期性預金」で「500億円超5,000億円以下」の場合には、預金準備率(準備率)は「0.05%」です。例えば、1,000億円の預金があるのであれば「5,000万円」を日本銀行に預けないといけないわけです。
1,000億円で5,000万円というのは少ないと思われるかもしれませんね。この預金準備率は金額が上がると上昇します。ちなみに「2兆5,000億円超」が最高区分で、この場合預金準備率(準備率)は「1.2%」になります。区分や率についての詳細は以下のURLを参照してください。
⇒データ出典:『日本銀行』「準備預金制度における準備率 公表データ」
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/reservereq/junbi.htm/
■中国は金融緩和を進行!?
09月30日に、中国の中央銀行である中国人民銀行は預金準備率を引き下げると発表しました。中国の銀行が中国人民銀行に預けなければならない「預金準備」が少なくて済むことになりますから、その分を貸し出し、融資、投資などに回すことが可能になるわけです。
当局の発表によれば「中小企業への貸し出しを増やすため」としていますが、引き下げ基準が緩いので、主要銀行と中小銀行の90%が対象になると予測されています。
識者は「最大で1兆元(約1,500億ドル)という巨額の資金が市中に供給される可能性がある」としています。それだけのお金が出回り、お金の流動性が増すわけですから、これは「金融緩和」です。
ロイターの記事ではChristopher Beddor氏がこれを「1年超ぶりの利下げ」と表現していますが、確かにそういう見方もできます。
⇒データ引用元:『ロイター』「コラム:中国人民銀、中小企業支援装う「利下げ」で八方良し」
https://jp.reuters.com/article/column-china-rate-cut-idJPKCN1C80AY
(柏ケミカル@dcp)