中国での事業を縮小、撤退する外国企業は増えるばかりです。
『Wall Street Journal』は、世界的なコンサル会社『マッキンゼー』が中国における事業縮小を行うと報じました。約500人の従業員を削減し、特に政府関連のクライアントとの関係を縮小する意向を示してる――とのこと。従業員の約3分の1が影響を受ける見込み、としています。
理由はいろいろ考えられますが、端的にいってリスクが高くて儲からなくなったからです。
「本当のことを言うと捕まる」ところでコンサル業などできない!
アメリカ合衆国・中国間の地政学的な対立が激化する中、外国企業に対する規制が強まり、特にコンサルティング会社のようなビジネスが注視されています。『マッキンゼー』のような国際的企業は、政府関連のクライアントとの関係がリスクと見なされる可能性があります。
また、中国は近年、データセキュリティー法や国家安全法などの新しい規制を施行しており、企業の運営に影響を与えています。
『マッキンゼー』はコンサル会社ですので、中国の経済状況を客観的に評価し、クライアントに適切なアドバイスを行うのが仕事です。
ところが本当にことを言うと、中国当局から目をつけられ、恣意的に拘禁される恐れがあるのです。そんなところでコンサル業などできるわけがありません。
また中国経済は近年成長が鈍化し、不動産危機などの影響で経済全体の需要が低迷しています。
この状況で、コンサルティング需要も減少していると考えられます。企業がコスト削減を優先する中、マッキンゼーのような高額なコンサルティングサービスは削減対象になりやすいでしょう。クライアントが減少すれば撤退するしかないでしょう。
『マッキンゼー』だけではありません。
『ノキア』も中華圏で大幅人員削減!
通信関連業の世界的大手『NOKIA(ノキア)』は、2023年に1万4,000人の人員削減計画を発表しています。
中華圏では約1万400人の人員を抱えていたのですが、すでに2,000人を削減しました。ほぼ1/5を削ったわけです。
2019年の売上を見ると『ノキア』は中国市場から27%を上げていました。売上の27%を上げてきた市場で人員を20%削ったわけで、売上比率からいえばさらに削るでしょう。
『ノキア』の人員削減は、もちろん上記の『マッキンゼー』と同じく、中国の国家安全政策の影響も受けています。
欧米と中国との軋轢がさらに深まれば、自由主義陣営国の多国籍企業はさらに中国での事業から手を引くでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)