韓国に問われているのは覚悟である――なのですが、いまだに中国にも秋波を送り「ツートラック」を夢見ているところがあります。
韓国メディア『国民日報』に興味深い記事が出ているのでご紹介します。記事より一部を以下に引用します。
企画財政部が今月「第1回 中韓サプライチェーン協力調整協議会」の開催を目指し、中国側と最終交渉を行っていることが07日、分かった。
昨年8月、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官が、中国の国家発展改革委員会の何立峰主席との韓中経済閣僚会談で協議体の新設に合意してから6カ月ぶりだ。
政府は現在、アメリカ合衆国が主導する4カ国(合衆国・日本・台湾・韓国)の半導体サプライチェーン協議会である「Chip4同盟」への参加を検討している。
このような状況で、政府が合衆国だけでなく、中国とも協力する方式でサプライチェーン拡充のためのツートラック戦略に突入したという分析が出ている。
中韓両国は今回の協議会を通じて、尿素水事件などサプライチェーン不安の再発防止対策などを議論する予定だ。
(後略)
アメリカ合衆国と中国の対立が深まっているというのに、コレです。
アメリカ合衆国が「中国を排除したサプライチェーンを構築しよう」としているのに、「中国とサプライチェーンの拡充」を協議するというのです。
「予想の斜め上をいく国」といわれますが、「やはりスゴい」としか言いようがありません。合衆国からすれば、「お前はナニを言ってるんだ」です。
しかも、「尿素水事件などサプライチェーン不安の再発防止対策など」と書いていますので、話し合いたい内容は、中国に「ちゃんと輸出してくんなきゃ困るよ」です。
中国からしても「(合衆国に味方しているくせに)お前はナニを言ってるんだ」です。
こういうのをコウモリというのでしょうが、それにしても言い草が「斜め上」すぎて、「合衆国・中国の両方を呆れさせる」ものとなっています。
この記事の結びがもっとスゴいのです。以下をご覧ください。
(前略)
これにより、今回の協議会が政府のサプライチェーン基調を決定する重大な分水嶺になるという観測が力を得ている。政府は、「Chip4」同盟に対する中国の理解を求めるために水面下で接触しているという立場を何度も明らかにしたが、中韓両国がサプライチェーンをテーマに公式的な議論のテーブルに座るのは、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権発足後初めてだからだ。
ただし、産業通商資源部の関係者は「今回の中韓協議体では半導体ではなく、尿素水など一般的なサプライチェーン協議案が議論されるだろう」とし、「特定の部品や分野協力だけに限定しない計画」と説明した。
(後略)
本当に産業通商資源部の関係者がこう語ったのかどうかは分りませんが、「今回の会議では半導体ではなく、(韓国が困る)尿素寿司など一般的なサプライチェーンが議論される」と非常に虫のいい話をしています。
中国がそんな虫のいい話に乗るわけがありません。「オレはお前のお母さんか何かなのか?」というわけで、協議会が開催されれば、もちろん中国は半導体のサプライチェーンの話をするに決まっています。
こういうのが韓国の全く駄目なところです。自分への評価が高すぎて、自分を相対的に見られないのです。「自分たちは中国(合衆国)から高く評価されており、下にも置かないもてなしをされて当然」と思い込んでいます。「韓国の言うことは通るはずだ」と信じて疑わないのです。
これが「人間 対 人間」という個人の話なら、まだ「ああ、ヘンな人がいるねえ」「変わった人だね」「付き合わないようにしよう」「あの人のいないところに引っ越そう」で済むのですが、すぐ近くにある国ではそうもいきません。
日本も含めて、恐らく合衆国、中国も「どうして韓国ってこんななんだろう」とうんざりしているのですが、それも理解できないでしょう。「相対的に物事を見る」ことができないからです。
考えてもみてください。中国からしても「あんたが尿素水を輸出しないとオレが困るんだよ。だからサプライチェーンの話をしよう! でも半導体の話はなしね」とねじ込んできたら、どう思うでしょうか。
「お、おま……」と絶句して血圧が上がるでしょう。
(新冷戦が終わったら)日本・合衆国・中国は「非韓同盟」を組むことができるかもしれません。「みんなで関わらないようにしようよ」と。
(吉田ハンチング@dcp)