トランプ大統領のせいで、ウクライナの継戦能力が奪われようとしています。
トランプ大統領のウクライナ戦争に向き合う姿勢は、自由主義陣営諸国をがっかりさせるものです。彼が行おうとしているのは、合衆国が第二次世界大戦後に築いた「体制」を自ら毀損するもの他なりません。
「合衆国さえ得をすればいいんだ」という態度は、なんことはない、海外の植民地獲得を目指してゴリゴリ外国に圧力を掛けていた「かつての帝国主義」です。
何度もご紹介していますが、帝国主義は現在でも存在します。銃を使うか、ドルを使うかの違いたけです。
――これまでは。
しかし、ロシアが無法に攻め込んで3年が経過し、それでも持ちこたえていたウクライナ。
そのウクライナを崩壊させるような「親ロシア」な姿勢を示すこと、「合衆国さえ儲かればイイんだ」で解決しようというのは「戦争を起こす者は悪である」という第二次世界大戦後の「秩序」を崩壊させるものに他ならず、合衆国の信用を失墜させました。
「軍事力の強い国」が無法に他国に攻め込んでも容認される――ことを示しているからです。
トランプ大統領の姿勢は、帝国主義の再来を露骨に示したもので、合衆国にはもはや期待できません。合衆国のいい加減極まりない政策変更は世界に不信と不和の種をまきました。
日本も自国を守るために「核武装」が必要になった――のは自明のことです。合衆国が頼りにならないことを自ら証明したのですから。
トランプ大統領は4年やってサヨナラかもしれませんが、まったく愚かなことをしてくれており、現在もその状況が進行中だというのにウンザリさせられます。
ウクライナ戦争については、まだ進行中ですが、誰もが思うことは「なぜロシアは勝てないのだろうか?」ではないでしょうか。開戦直後の初動において9本あった攻勢軸のうち、まともに機能したのは南部のみ。
キエフを突くラインが現在の目で見ると、実は(ウクライナにとって)最も危なげない戦いであった――ということは、そもそもロシア軍が他国に侵攻して長時間もたすことができるようなものではなかった――ことを示しています。
しかし、調べてみると「勝てないのには理由がある」のです。一つはそのロジスティックが実にいい加減なものだという点です。
ロシア軍の内部は腐敗しているし、軍曹備品の横流しなど常態化しており、真にひどいものだ――という話です。有坂純先生は、以下のように書いていらっしゃいます。
(前略)
第一章第五節でも少し触れたように、ロシアの社会にはあまねく腐敗と汚職が充満しており、もちろん軍隊も例外ではあり得ない。兵舎では軽犯罪が横行し、2014年から22年にかけて、毎年およそ1000名の招聘が窃盗で、およそ1500名が詐欺で摘発されている。
もちろん彼らは、たまたま捉えられたというだけの不運な、あるいは間抜けな一部の連中なのであって、実際の件数はわれわれの想像の外にある。
戦闘部隊では歩兵用のボディ・アーマーやヘルメットが姿を消し、戦車は燃料と潤滑油を抜かれ、あるいは高価で持ち出しの簡単な電子装置を取り外されている。
そして、後方では兵站将校たちが偽造請求書によって送られてきた装備品を着服し、もっと大胆な者は倉庫の装備品や物資をトラックに積み込んで堂々と運び出している。
南部軍管区で戦車の整備を担任していたある大佐は、2021年11月から開戦後の4月までに、T-90戦車の交換用エンジン七基を盗み、闇市場で売った容疑で逮捕された。
ウクライナにいるロシア軍の中隊以下の部隊が、アナログ通信で平文を使ったり、住民から略奪した携帯電話を使ったりしているのは、秘匿性の高い最新のデジタル通信機R-181P1アザートの調達と配分が、製造業者と担任の高級将校が結託した汚職によって大幅に遅延したがためである。
もっともロシア軍の戦争文化には、他人の私物を盗むのは紛れもない犯罪であるが、国家の公共財を盗む行為はまあ大目に見ようというユニークな慣習法が存在する。
さらにいうまでもなく、憲兵隊や司直の対応が、容疑者の権力や地位に影響されないはずがない。
セルジュコフ国防相が自身のではない横領容疑で失脚したのは、彼が政争に負けて権力を失ったからであって、対照的に、2013年まで地上軍司令官だったウラディミール・チルキン上級大将は、贈収賄の罪でいったんは流刑地送りの有罪判決を下されていながら、友人であるゲラシモフ参謀総長の介入で恙無く無罪放免となっている。
(後略)『ウクライナ戦争の正体』著:有坂純,株式会社ワン・パブリッシング,2023年12月31日 第一刷発行,pp168-169
いい加減なロシア軍は勝てない戦争を今も続けています。
合衆国がロシアを手を握る――という活動を始めていますので、欧州各国が対ロシアに全力を出さないといけなくなりました。日本はウクライナの支援を続ける必要があります。そうでなければ、合衆国による「帝国主義復活」を認めることになるからです。
(吉田ハンチング@dcp)