中国の皆さんは職もないし、給料は上がらないし、ローンを組んで購入したマンションは完成しないし、公務員に対する給料支払いですら滞るし……など挙げればキリがないほど困難に直面しています。
おまけに自分のお金が銀行から引き出せなかったりもします。ひと言でいえば最低です。
中国人の生活は確実に苦しくなっている!
見栄っ張りで高額消費するのが常の中国の皆さんにもかかわらず、「節約して生活する」という人が増えている――と指摘されています。
そうでもしないと生活できなくなってきたのです。なので、こんなことまで話題になります。
「マクドナルドの値上げ」です。
読者の皆さんは中国にマクドナルドの支店が幾つあるかご存じでしょうか。約5,000店舗です(2022年末時点で本土に4,978店舗、香港に39店舗、マカオに31店舗)。
日本マクドナルドの公式ホームページによると、日本には約3,000店舗ですので、人口比で考えると、中国の店舗数は多くないかもしれません。しかし、中国の皆さんにも親しまれており、外食チェーンとしては非常にポピュラーです。
――で、中国のマクドナルドが商品の値上げを実施しようとしているのですが、これに対して、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』が「懸念を表明する」記事を出しているのです。
「Chinese netizens irked by McDonald’s alleged price hikes」(中国のネットユーザー、マクドナルドの値上げ疑惑に憤慨)というタイトルの社説記事です。
本音は「値上げするマクドナルドはけしからん!」
(そもそも中国メディアには自由な報道などはありませんが)御用新聞なので、「中国国民の生活が苦しいのに値上げとは何事だ!」と外資系企業を叱りつけているつもりなのかもしれません。
御用新聞の書きようを以下に引用してみます。
マクドナルドの食品の値上げの可能性についての議論は、消費者の好奇心と中国市場でのフードチェーンの運営に対する懸念が入り混じって、中国のネットユーザーの間で盛り上がった。
この話題は火曜日にソーシャルメディアプラットフォーム新浪微博のトレンドリストのトップに急上昇した。
メディアの報道によると、マクドナルドは水曜日から中国国内の主要商品を値上げすると報じられており、ハンバーガー商品とスナック菓子の90%近くが0.5元(0.07ドル)値上げされるという。
また、McCombo meal (マックコンボミール)は1元値上げされる。
(中略)
一部のネットユーザーは、値上げ案に理解を示す一方で、食品の品質向上を求めている。「価格は上がってもいいが、品質は標準に保つ必要がある」とコメントしたネットユーザーもいた。
また、不満を表明し、代替品へのシフトを誓う人もいた。
(中略)
「住宅価格が上昇したとき、私は無関心で見ていた。ガソリン価格が高騰したとき、私は影響を受けなかった。しかし、マクドナルドが値上げするとき、私は心の底から傷つく」と別のネットユーザーはコメントした。
⇒参照・引用元:『Global Times』「Chinese netizens irked by McDonald’s alleged price hikes」
1元は約20円です。20円の値上げでも心の底から傷つくそうです。
冒頭に「中国市場でのフードチェーンの運営に対する懸念が入り混じって……」と書いていますが、これこそ御用新聞の言いたいことです。
記事の後半には「10月30日、マクドナルドは第3四半期の決算を発表し、売上高は前年同期比14%増の66億9200万ドル、純利益は17%増の23億1700万ドルとなった」と嫌味たらしく書いています。
つまり、これだけ儲けているのに値上げするのかよ、と言いたいわけです。
外資系企業が中国で儲けるのはけしからん、気に入らないと、はっきり言ったらどうでしょうか。このような国ですから、そもそも中国など外国企業が安心して商売できるような場所ではないのです。
また、国民が困窮しているのは、そもそも「習近平の特色ある社会主義に導かれた」結果なので、スジからいえば習近平さんこそが懸念を表明されるべきです。
(吉田ハンチング@dcp)