中国共産党が2021年06月10日にの「第13回全国人民代表大会」の「常務委員会第29回会合」で採択し、即時施行された「反外国制裁法」。
Money1でもご紹介しましたが、これは「中国の主権を害したり、中国に内政干渉を行ったりした組織、個人を『対抗措置リスト』に入れ、必要な措置を取ることができる」という法律です。
第6条に対抗措置として何ができるかが書いてあります。ビザの発給停止、入国拒否、国外追放、動産・不動産の差し押さえ……と並んでいるラストは「その他必要な措置」となっています。
要は、中国共産党がなんでもできる法律なのです。
これが、香港まで適用拡大されるのではないか、という観測が出ました。
香港に適用されれば外資系金融機関が大挙して逃げ出すか
「中国全国人民代表大会常任委員会」は2021年08月17~20日、北京で会議を開催します。ここで、「香港への反外国制裁法の適用」が認められるのではないか、という観測が出ているのです。
実は、香港のキャリー・ラム行政長官は、08月09日の週にすでに反外国制裁法が香港でなんらかの形でまもなく施行されることを明らかにしており、時間の問題と見られていました。
香港には200以上の銀行があり、その80%以上は外資系です。香港の金融センターとしての地位はこれら外資系の銀行が香港で業務を行っているから成立しています。
反外国制裁法が香港でも拡大適用されるのであれば、危なくて香港にはいられません。ただでさえ、世界からの香港への投資は減少しているのです。
リスクが高いと判断すれば、金融機関は香港での業務を締めて撤退するでしょう。そうなれば、合衆国と中国の金融デカップリングは加速し、香港の金融センターとしての地位はさらに下落することになります。
中国は外界に開いた資金の吸収窓口、要衝を自ら失おうというのです。しかし、中国共産党はやるでしょう。経済合理性を無視した政治的な判断によって。
(吉田ハンチング@dcp)