どうも「日本経済は円安で危機に陥っている」と認識されているようです。
日本メディア『日本経済新聞』が「ドル建てで計算すると名目GDPが4兆ドルを割りそう」などという記事を出したせいのか、「日本の経済規模が30年前に戻る」という記事が韓国メディアに載っただけでなく、中国メディアもこの話題にノっているのです。
「ドル建てにすれば」の話ですし、自国通貨が対ドルで安くなっている国、特に韓国は日本を揶揄している場合ではありません。
日本よりマシですが、ドル建てにしたら名目GDPはやっぱり減少するからです。
中国の場合は、韓国記事のように揶揄するだけではなく、これを政治的な目的に役立てようとする点でひねりが効いています。
中国との対決姿勢を鮮明にしている合衆国、また合衆国に協力している日本が気に入らないので、日米の間を裂くべく利用しているのです。
中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』の記事から以下に引用してみます。
記事のタイトルは「低迷する日本経済、合衆国のデカップリングに追随する余裕はない」です。
まず以下の冒頭部分。
(前略)
『日本経済新聞』は月曜日、急激な円安のため、日本のドル建て名目GDPは今年4兆ドルを下回り、30年前の水準まで大幅に縮小する可能性があると報じた。(中略)
過去30年間、世界の経済情勢は大きく変化してきた。
ドル換算で、中国経済は20倍、合衆国は3倍の成長を記録したが、日本経済は30年前の水準に逆戻りしている。
日本経済が直面している厳しい試練と困難は、日本の政治エリートたちに、「冷戦」精神が蔓延する経済・貿易政策をいつまで放置し続けるのか、という深刻な問いを投げかけている。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: Japan’s faltering economy can’t afford to follow US decoupling」
いきなりこれです。「ドル建てで計算して名目GDPが4兆ドルを割るかも」という件は、日本の政治エリートに「いつまで冷戦的な考え方、経済・貿易政策を続けるのか」という問題を突きつけているそうです。
中国が「冷戦的な思考」と批判するときは、「中国と対立するな」という意味です。合衆国と行動を共にする日本を非難し、続いて、
(前略)
このような困難な時期に、日本が経済再生を目指すのであれば、中国との経済・貿易関係を強化することが有効である。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: Japan’s faltering economy can’t afford to follow US decoupling」
と懐柔のフレーズが入っています。中国経済こそ今や崩れつつあり、困難な時期。日本の心配などしている場合ではないはずですが。
で、この記事の結論が以下です。
(前略)
日本が米国に追随して中国から「経済的・技術的切り離し」を行うならば、日中関係の安定的発展に深刻な影響を与えるだけでなく、アジア太平洋地域の経済統合を大きく頓挫させ、日本から地域経済向上の恩恵を受ける機会をさらに奪ってしまうことになる。低迷する日本経済にとって、このような悲惨な結果は許されない。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: Japan’s faltering economy can’t afford to follow US decoupling」
中国を「経済的・テクノロジー的」に切り離すと、日本は悲惨な結果になるそうです。中国は大変に嫌がっていますので、これは「効いてる効いてる」ということでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)