先のご紹介したとおり、韓国の産業通商資源部が2024年12月20日から試掘を開始した「大王クジラ」エリアについて「経済性」がないと判断した――と報じられました。
「大王クジラ」エリアは駄目だったわけですが、産業通商資源部はまだ試掘は続ける、としています。以下は2025年02月07日に出した「掘削中間結果は精密分析後05~06月頃発表予定、探査掘削は探査資料の精度を高めていく過程」というプレスリリースです。
02月06日(木)、『京郷新聞』、『世界日報』などは、東海(日本海:原文ママ/引用者注)大王クジラ構造に対する探査試掘について「事実上の失敗」「事実上の失敗認定」などと報道。
<報道内容に対する立場>
本日、産業通商資源部は、東海深海ガス田の第1試掘の暫定結果を発表し、試掘の過程で一部ガス痕跡があることを暫定的に確認したものの、現在のところ全体的な石油システム構造も不明瞭であり、経済性を確保できるレベルには至っていないと言及した。しかし、今回の発表は、大王クジラ構造はもちろん、他の有望構造に対しても断定的な結論を下したものではなく、今回の試掘で得られたデータおよび精密分析の結果が、今後の東海深海全般における探査資料の精度を高める土台になるものと期待される。
また、貯留層の厚さや孔隙率、覆い層の形成など、有望構造を構成する要素がそろっていると推測されるため、十分なガス飽和度が確認されなかったからといって、今回の試掘を「失敗」と断定するのは難しい状況だ。
資源開発は長期的なプロジェクトであり、14回目の試掘でリザ油田を発見したガイアナ※、33回目の試掘でエコフィスク油田を発見したノルウェーの事例のように、挑戦的な環境下でも継続的な探査と地質データの蓄積・分析を通じて、発見の可能性を高めていくことが重要だ。
⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「掘削中間結果は精密分析後05~06月頃発表予定、探査掘削は探査資料の精度を高めていく過程」
要は、「一部の韓国メディアが失敗、失敗と書いていやがるが、まだ試掘1発目の概要が出ただけであって、失敗と決めつけるな」――というわけです。
※「Liza(リザ)油田」は、南アメリカ北東部に位置する国「Guyana(ガイアナ)」の沖合で『エクソンモービル』が発見した油田です。
では、今回の試掘、ココまでで何が分かったのかというと――、
産業通商資源部と『韓国石油公社』は、日本海の迎日湾沖の深海で、石油・ガスが埋蔵されている可能性が高い有望構造7箇所を発見。その中で「大王クジラ」エリアを最初の試掘地点に決定。
世界最大の探査・試掘企業である『Schlumberger Limited』(シュルンベルジェ)の専門家が乗船するドリルシップ「ウェストカペラ号」が、2024年12月20日から2025年02月04日まで47日間にわたって試掘を実施した。
『シュルンベルジェ』社は、
・地層を掘削しながら電磁波を照射して地層構造を3Dで解析
・掘削中に採取した泥水のガス飽和度を測定し、ガスの痕跡を確認
・この試掘では海底から1,761mの深さまで掘削し、岩石の破片など約1,700点の試料を採取を行った
――となります。
石油公社は今後数カ月にわたり精密分析を行い、ガスの移動経路や成分を確認し、早かれば結果を05~06月頃に発表する予定です。
「失敗、失敗と言うな」は分かりますが、現段階で有望ではない――というのは、少なくとも試掘1発目はうまくいかなかったということでしょう。
しかし、産業通商資源部のいうとおり、次の探査の基礎資料として役立つでしょう。
「まだ掘る」ということなので、次に期待いたしましょう。
(吉田ハンチング@dcp)