アメリカ合衆国と中国の貿易戦争がまた激しくなっています。
就任初日に大統領令を25本に出すなど、精力的に活動しているトランプ合衆国大統領ですが、中国への関税賦課について予定どおり実行し、中国側でも対抗措置に追われています。
メキシコ、カナダ、中国が標的になり、一方で韓国では「次はうちだ」という反応が出ています。
――というのは、中国企業による「韓国産と偽装する動き」が強まっているから――というのです。簡単にいえば、韓国を利用した「産地偽装」の「迂回輸出」です。
韓国メディア『』の記事から一部を以下に引用してみます。
かつてグローバル競争力を誇った韓国の伝統的製造業企業が、中国企業の核心技術や原料を使用して生産した製品を「メイド・イン・コリア」に偽装し、輸出する「ラベル替え」の通路へと転落している。
業界不振による存続の危機に直面し、中国資本の誘惑を断ち切れない状況だ。
中国企業にとっては、合衆国の関税障壁を回避でき、韓国企業にとっては休止状態の工場を稼働させることができるため、
両者にとって「Win-Win」の戦略となる。
しかし、中国の韓国経由の間接輸出が本格化すれば、関税を武器とする第2期トランプ政権の合衆国との通商摩擦が激化する恐れがある。
(後略)
韓国と中国には技術的格差があり、韓国が優位であったのですが、現在では「中国企業の核心技術や原料を使用して生産した製品」を合衆国に「Made in Korea」として輸出する羽目になっている――という嘆きです。
韓国ではどん底景気となっていますので、中国企業からの「迂回輸出」ビジネスが依頼されると断ることができない――というのです。韓国は合衆国とFTAを締結していますので、中国企業にとっては節税になります。
一応、韓国は「自由主義経済国」となっていますし。
どんな形態であれ、ビジネスはビジネス、記事内にもあるとおり「中国企業と韓国企業はWin-Win」と考えることもできます。
しかし、今回のトランプ政権では、まさに合衆国と貿易協定を結んでいるカナダ・メキシコが俎上に上っています。バイデン政権の末期からそうででしたが、中国による「メキシコを利用した迂回輸出は許さない」という姿勢でした。
そうであるなら、当然「韓国を利用した迂回輸出は許さない」となる可能性はあります。
同記事では以下のように書いています。
(前略)
合衆国の関税回避を狙う中国企業の「第3国経由輸出」の動きは、石油化学業界に限らず、韓国のさまざまな産業で進行している。ルノーグループは、中国の吉利(Geely)とコンソーシアムを組み、「Polestar 4(ポールスター4)」をルノーコリアの釜山工場で受託生産する予定だ。
韓国の主要ロボット企業は、自社生産能力がないため、中国企業から高付加価値部品を輸入し、韓国の工場で最終組立を行った後、「韓国製」として輸出している。
こうした動きの背景には、韓国が合衆国との自由貿易協定(FTA)を締結しており、対米貿易において関税回避のメリットがあるためだ。
ある反ダンピング専門弁護士は、「中国企業の『ラベル替え』はこれまで東南アジアで頻繁に行われてきた」とし、「合衆国がベトナム、カンボジアなどの迂回輸出を規制したため、新たな迂回地として韓国が選ばれた可能性がある」と分析した。
(後略)
合衆国が「中国企業による韓国を利用した迂回輸出」についてどのように対処するのか、は注目する必要があります。
もちろん合衆国はすでに韓国の動きを把握しています。
(吉田ハンチング@dcp)