韓国の家計負債が異常な速度で増加し、時限爆弾と化しているのは何度かご紹介しているとおりですが、不安が増大するデータが韓国メディアに出ました。
2022年03月末規準で、韓国の全年齢家計貸し出し総額は「1,869兆1,950億ウォン」です。
これはまあ毎度の話なのですが、韓国メディア『毎日経済』の記事によると、ここからが興味深いのです。
記事は、国会政務委員会所属の『共に民主党』ジン・ソンミ議員が金融監督院かから提供された資料を基にしているとしていますが、
高年齢層(60歳以上)への貸し出し:349兆8,024億ウォン
(全年齢層貸し出しに占める割合:18.7%)
となっています。60歳以上の家計が抱える負債は約350兆ウォン。問題は、第2金融圏から多く借り入れていることです。
韓国では、第1金融圏は、一般銀行と特殊銀行。日本でいう都銀・地銀や特殊銀行である『農協銀行』などはここに区分されます。
第2金融圏は、保険会社、証券会社、総合金融会社、相互貯蓄銀行、与信専門金融会社などです。当然ですが、第2金融圏の方が貸し出し金利が高くなります。ですので、第2金融圏でお金を借りる率が高い方が金利負担が大きいことになります。
全年齢の家計貸し出しでは、第2金融圏での融資は41.2%(771兆6,025億ウォン)になりますが、高齢層では「54%」(191兆9,014億ウォン)になります。
60歳以上と所得が少ない世代ですが、他世代と比較して金利負担は多いわけです。
高齢層の人口は2019年末比で「12.2%」増加しているのに、貸付総額は15.6%増加しています。つまり家計当たりの負債が確実に増加していることを示しています。
さらに多重負債者も増加しています。2021年末時点での高齢層多重債務者人口は「54万8,000人」。2019年末比で16.0%増加しています。ところが、全世帯での増加率は「5.3%」です。
状況は確実に悪化している
状況は確実に悪化しています。韓国はもともと高齢者の貧困が問題視されてきた国です。また、残念なことに高齢者の自殺者も多い国です。コロナ禍のために高齢者の経済状況はさらに悪くなり、そのために借り入れ金額も増加したものと推測できます。
この高齢層が金利上昇の局面に耐えられるのかが焦点になります。
(吉田ハンチング@dcp)