先にご紹介したとおり、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が危険域まで急騰しており、ロシアがデフォルト(債務不履行)を起こす可能性は大変に高まっています。
加えて、自由主義陣営国の経済制裁によって、ロシアが保有する外貨準備の半分が凍結されたと報じられています。
以下をご覧ください。
2022年01月時点
外貨準備高:6,302億700万ドル
(約72兆7,385億円)⇒データ引用元:『TradingEconomics』公式サイト「Russia Foreign Exchange Reserves」
半分凍結されたのであれば、残りは3,150億ドル(約36兆3,693億円)。
『Reuters(ロイター)』の報道によれば、03月中にロシアは7億ドル以上の国債の利払いがあるのですが、上記3,150億ドルあるとすれば微々たるものです。
問題は「どうやって支払うか」です。
凍結されておらず、動かせるとしても、SWIFTからの除外、ハードカレンシーの決済不可によって「path」が閉ざされています。
そのため、外国の債権者が外貨建て債の利払いを受けるのは、恐らく不可能です。
しかも、ロシアが、自らを金融面で締め付けている外国に、万難を排して(迂回路を使うなどして)利払いを行う――などということが考えられるでしょうか?
「誰が払うかばーか」という心情になっても全く不思議ではありません。
『JPモルガン』によれば、最初の試練は03月16日。この日に債券の利払いがあります。この日支払いがなくても、30日間の猶予期間が設けられているので、正式なデフォルト確定は04月15日になります。
『Reuters』の報道が正しければ、ロシアが抱えているハードカレンシー建ての債務は400億ドルほどです。しかし、これが元利ごと回収不可となると、投資家にとっては大打撃です。しかも、この債務にまた「CDS」問題が付いてくるのです。同じく『Reuters』によればCDS規模は約60億ドルとなっています。
本当にそれで済むのでしょうね?――です。
正式だろうが、テクニカルだろうが……
『Bloomberg』の記事の結びが面白いので以下に引用します。
(前略)
アバディーンの新興国市場ソブリン債責任者エドウィン・グティエレス氏(ロンドン在勤)は「テクニカルだろうが正式だろうが、デフォルトはデフォルトだ。支払いは受けられない」
と述べた。
大半の債券には30日間の猶予期間が設けられている。
なぜかグティエレス氏はキレ気味になっていますが(笑)、おっしゃっていることはもっともです。
ロシアの中央銀行が公式に認めたものだろうが、テクニカルだろうが、「実際に債務不履行が起こったらデフォルトだー!」――です。
さて皆さま、ロシアがデフォルトになるかどうかご注目ください。
ただし、ロシアがデフォルトしようが、プーチン大統領は居続けますし、戦争をやめません。また、デフォルトを起こしてもロシアという国がなくなるわけではありません。
ソ連時代のような、国民みんながビンボで寂しい感じにはなるでしょうが。
(吉田ハンチング@dcp)