韓国の国債に対する懸念が広がってきました。
尹錫悦(ユン・ソギョル)新大統領が公約とした「50兆ウォンのばらまき」(コロナ禍で経済的な困窮に瀕した小商工人・個人事業主に対する損失補てん)についてです。
もう何度だっていいますが、韓国政府には財政余力がないので50兆ウォンもの財源はありません。そのため、50兆ウォンの公約を果たすためには、このほとんどを赤字国債の発行で賄(まかな)わなければなりません。
で、国債が発行できるのか――という懸念が出ているのです。
ご存じのとおり、文政権はとにかく国債を発行して政府負債を異常な速度で増やしました。以下の韓国政府の国債発行残高の推移をご覧ください。
2021年末時点で「843.7兆ウォン」です。文政権が始まった2017年が「546.7兆ウォン」ですから、5年の治世で「297兆ウォン」の増加。1.54倍に増やしました。
これ以上増やせるのか、です。
問題は「韓国政府がこれ以上の負債増に耐えられるのか」だけではありません。
「投資家に買ってもらえるのか」も問題なのです。
韓国政府が発行した(できた)としても、投資家が「もう要らない」といえばおしまいです。
実際、懸念があるのです。
2022年03月28日に企画財政部が実施した国債5年物の競争入札。応札率は「223.4%」でした。
しかし、02月に行った2回の競争入札では同じ5年物は「274.1~301.5%」だったのです。応札率の急落は危険な兆候です。
Money1でも何度もご紹介していますが、韓国債の利回りは急騰しています。これは韓国債が忌避・売却されているために起こっています。つまり、市場的には韓国債のニーズは下がっているのです。
もしも、応札がさらに減ったり、あるいは流札といったことになると大変なことになります。資金が調達できないのみならず、韓国の国際的な信用は下落するでしょう。そうなるとさらに資金調達が難しくなります。
文政権は低金利で赤字国債を発行できたため、異常なほど政府負債を増やしましたが、世界的な金利上昇局面ではそうはいきません。しかし、韓国政府にはお金がないので発行せざるを得ないのです。
市場は韓国政府をどう見るか、が注目されます。
(吉田ハンチング@dcp)