日本・安倍晋三元首相の国葬を機に訪日した、アメリカ合衆国のカマラ・ハリス副大統領は日本を離れて韓国を訪問しました。
↑ハリス副大統領を迎える尹錫悦(ユン・ソギョル)代。写真は全て第20代大統領室が公表したもの
2022年09月29日、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領とハリス副大統領は約85分間も会談を行いました。
例の「尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領がバイデン大統領を貶める発言をした」件が韓国で盛り上がってしまい、火の粉は海外メディアにも飛んでいきました。
そのため韓国の大統領室も気が気ではなかったのでしょう。大変に面白いプレスリリースを出しています。
韓国の大統領室は望んでいた発言をGetだぜ!
以下をご覧ください。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、09月29日午前、訪韓した「カマラ・ハリス」アメリカ合衆国副大統領を85分間接見し、米韓関係強化方案をはじめ、北朝鮮問題、経済安全保障、主要地域および国際懸案など相互関心事について様々な意見を交換しました。
尹大統領は、ハリス副大統領が就任以来初めて訪韓したことに歓迎の意を表した。
尹大統領は、先週ロンドンとニューヨークでバイデン大統領と会い、米韓同盟の発展方向について緊密に協議したとし、ハリス副大統領の訪韓が米韓同盟発展のための、また別の機会になるという期待を表明しました。
ハリス副大統領は、米韓首脳間のニューヨーク会合と関連して、韓国内の議論について合衆国側としては全く気にしていないとし、バイデン大統領は尹大統領に対して深い信頼を抱いており、先週ロンドンとニューヨークで行われた尹大統領との出会いについても満足していると思う、と述べた。
(後略)
まず、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が「先週ロンドンとニューヨークでバイデン大統領と会い、米韓同盟の発展方向について緊密に協議した」と述べている点が面白い点です。
先にご紹介したとおり、韓国メディアによると、尹錫悦(ユン・ソギョル)とバイデン大統領とは「3回のニアミスで計148秒」しか話していません。
にもかかわらず、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は「緊密に協議した」と強弁したのです。
ハリス副大統領は、「韓国内の議論(= 尹大統領によるバイデン大統領への暴言問題)について合衆国側としては全く気にしていない」と、大統領室と大統領が言ってほしかったことを口にしました。
次に合衆国側が出したプレスリリースを見てみましょう。ホワイトハウスが出したプレスリリースには、違った風景が広がっています。
「日本とケンカすんなよ!」
2022年09月29日、以下がホワイトハウスから出たプレスリリースの全文です(面倒くさい方は飛ばしてください)。
カマラ・ハリス副大統領は本日、韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領とソウルで会談した。
副大統領は、米韓同盟が引き続きインド太平洋および世界中の平和、安定、繁栄の要であることを強調した。
副大統領は、国際的なルールに基づく秩序を維持することの重要性を強調し、ルールと規範を強化し、共通の価値と利益のために立ち上がるために、さまざまな問題にわたって韓国との緊密な協力を歓迎した。
ハリス副大統領は、合衆国が韓国を防衛し、両国の共同防衛態勢を強化することにコミットしていることを強調した。
副大統領は、韓国に対する合衆国の拡大抑止のコミットメントを再確認した。それは合衆国のあらゆる防衛能力によって支えられている。
副大統領と大統領は、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)に関して、朝鮮半島の完全な非核化という我々の目標の一致を再確認した。
両首脳は、国連安保理決議に違反する北朝鮮の挑発的な核レトリックと弾道ミサイル発射を非難し、日本との三国協力を通じたものを含め、潜在的な将来の挑発への対応について議論した。
副大統領は、北朝鮮の行動がインド太平洋地域と国際社会全体の平和と安全を脅かすことを強調した。
副大統領と大統領は、中国と台湾、および台湾海峡の平和と安定を維持するための努力について話し合った。副大統領は、自由で開かれたインド太平洋の不可欠な要素であることを強調しました。
副大統領と大統領はまた、合衆国と韓国間の成長する戦略的経済および技術パートナーシップについても話し合った。特に、両首脳は、5月の首脳会談以降、協力を拡大し、強化するためになされた重要な進展について検討した。
副大統領と大統領は、宇宙に関する二国間協力を深めることで合意した。
この点で、副大統領は、「破壊的な直接上昇型の対衛星ミサイル実験を行わないという約束を発表する」という韓国の計画を歓迎した。これは宇宙に関する国際的なルールと規範を策定したものである。
副大統領と大統領は、インフレ削減法の下で行われたクリーン エネルギーへの歴史的な投資を含む、気候危機に対処するための私たちの共同作業について話し合った。
副大統領は、同法の電気自動車に対する税制上の優遇措置に関する韓国の懸念を理解していることを強調し、同法が施行されるまで協議を続けることを約束した。
副大統領は、バイデン・ハリス政権が韓国および世界中でジェンダー平等と女性のエンパワーメントに優先順位を置いていることを強調した。
副大統領は、日米韓の3カ国協力の重要性を強調し、共通の目標と安全保障上の懸念を考慮して、この分野での追加のイニシアティブを歓迎した。副大統領はまた、日本と韓国の二国間関係を改善することの利点を強調しました。
ご覧のとおり、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の暴言問題についてなどどこにもありません。
合衆国にとっては尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が私的にバイデン大統領のことをなんと言おうが、あるいは言っていなくても、北朝鮮また中国を封じ込めるという点において協力が得られればそれでいいのです。
これはまあ、韓国与野党の政争が絡んだ世にもあほらしい話なのでどちらでもいいのですが、ホワイトハウスが出したプレスリリースには見逃せない点があります。
最後の部分です。
「副大統領はまた、日本と韓国の二国間関係を改善することの利点を強調しました」です。
北朝鮮また中国の封じ込めには日米韓の連携が重要なので、韓国に対して「日本とけんかするんじゃないぞ」と釘を刺したのです。
韓国政府が執拗に日韓関係の改善を叫んでいるのは、背後に合衆国のプレッシャーがあるのではないかという指摘が識者から出ています。
このハリス副大統領の発言は、その証左になるのではないでしょうか。もしそうなら、恐らく合衆国は、韓国だけではなく日本にも「なんとかないのー?」と圧力をかけているでしょう。
もっとも、日本としては「向こうが国際法違反をしているんですぜ」と合衆国に言い続けないと仕方ないのですが。
(吉田ハンチング@dcp)