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【韓国物流大乱の傑作】スト参加の運転手「早くオレにも業務開始命令を出せ!」

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本日2022年12月06日、韓国の『民主労総』は、現在無期限ストライキに入っている『民主労総公共運輸労組貨物連帯本部』(貨物連帯)を支援すべく、加盟している他の労組もストに入るようよう呼びかけています。

名付けて「尹錫悦政府の労働弾圧粉砕、貨物総ストライキ勝利全国同時多発民主労総総ストライキ、総力闘争大会」です。

権力闘争大会」というスゴいネーミングですが、傘下の労働組合が連動し、全土でさまざまな職種におけるストライキを画策したわけです。

しかし……これが頓挫しつつあるのです。

連帯不発か「みんな本当はやりたくない」のでは?

まず、『民主労総』が期待していた『韓国鉄道公社』『ソウル鉄道公社』のストライキですが、先に交渉の末、撤回されました。

公社なので、ストライキが起こるのがそもそもおかしいのですが、2022年12月01日には『ソウル鉄道公社』が妥結。『韓国鉄道公社』の方も02日の午前04時40分までかかりましたが妥結しました。

『民主労総』が画策した連帯闘争は02日の時点ですでに肩透かしになったのです。

06日の「権力闘争大会」の方では、『現代製鉄』、『大宇造船海洋』の労働組合は態度を曖昧にしています。『大宇造船海洋』は一部の執行委員が小さく参加、『現代製鉄』は賃上げの交渉を行うが、参加は未定と立場を濁しています。

『POSCO(ポスコ)』の労働組合は「民主労総とはやってられん」と先に抜けていますので、こちらは不参加。

だんだんグズグスになってきました。

「業務開始命令には従う」ドライバーの皆さん

面白いのは、「業務開始命令」が発動されてから、貨物連帯のストライキに参加しているドライバーの皆さんの態度が変わってきたことです。

政府側は「ストライキ」(政府側の見解は集団輸送拒否)に参加しているドライバーの名簿を確保し、1人ずつにメールや郵送物、あるいは電話をかけるなどして業務開始命令を送っています。

すると、それを確認したドライバーは業務に復帰していっているのです。

韓国メディア『朝鮮日報』によると以下のような具合です。

04日、本紙取材を総合すれば国土交通部は先月29日セメント貨物分野の輸送拒否者2,500人余りに業務開始命令を発動し、拒否者に毎日郵便や携帯電話を使って業務開始命令書を送っている。

去る03日まで運送業者を通じて住所を確保した455人には命令書を郵送で送った。

住所を確保できなかった拒否者264人にはテキストで命令書を送った後、業務復帰を督促する電話をかけた。

すると264人のうち185人が電話を受け、このうち175人が「復帰する」「すでに復帰した」と答えたということだ。

「復帰の意思がない」と出てきた記事は10人に過ぎなかった。

テキストで命令書を送った貨物記事のうち66%、電話通話まで行った拒否者のうち95%がストライキをやめて運転を取り戻そうとしたということだ。

セメント貨物の運送拒否者は80%ほどが民主労総傘下の貨物連帯組合員だ。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「弱まるストライキ動力…『業務開始命令』を受けた記事66%が『復帰する』」

というわけで、業務開始命令の発動とストライキ参加者への確認は効果を上げているようです。

業務開始命令は、それを受けたら1日で業務に復帰しなければなりません。そうでない場合には、運送免許取り消しや罰金、拘禁などの刑事罰を受けます。

「早くオレにも業務開始命令を出せ!」という傑作

傑作なのは、「早くオレにも送ってこい」と要求するドライバーがいることです。『朝鮮日報』の同記事は以下のように書いています。

(前略)
ストライキ中の運送拒否者が国土部に電話をかけ、「命令書送付はなぜこんなに遅いのか。早く送ってほしい」と要求する場合も多いという。

ストライキに参加こそしているが、貨物連帯組合員の本音は複雑だ。

命令書を受け取ったら翌日までに復帰しなければならない。

しなければ、運送免許の取り消しと共に懲役刑まで受ける可能性がある。

最近ストライキが長期化し、所得が途絶え、割賦で払わなければならない貨物自動車の購入費用負担も大きくなり、苦痛を訴える拒否者も増えた。

命令書を言い訳にして業務に復帰したい拒否者が少なくない、という話だ。

20社余りの運送会社で「貨物連帯が脅迫するので運送に復帰できない」「安全さえ保障されるならすぐに復帰する」という意志を国土部に伝えたという。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「弱まるストライキ動力…『業務開始命令』を受けた記事66%が『復帰する』」

ストライキを行っている最中は、当たり前ですが収入がありません。

そのため、トラックを購入した代金の割賦返済が苦しくなり、「早くやめたい」と思うドライバーが増えているというのです。

そもそも、今回のストライキ参加の皆さんは一国一城のドライバー、つまり個人事業主が多いので、ストの最中にお金が出たりしません。そこが泣き所です。

自分の所得を犠牲にしてまで「尹大統領の労働運動圧迫を粉砕したいのか?」なのです(いや、そもそも労働運動を圧迫しているのか?も問題です)。

――で、業務開始命令が自分にくれば、それを理由に復帰できるとのこと。「なんでこんなに業務開始命令がくるのが遅いのか」は傑作です。

もうやめればいいじゃない――です。

おまけに尹大統領の支持率が上がる!

民主労総にとっては残念なことに、ここにきて尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の支持率も上がっています。


↑『リアルメーター』の調査結果のスクリーンショットです。青い線が尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の支持率。直近で38.9%まで上昇しました。

⇒参照・引用元:『リアルメーター』公式サイト「【12月1週目の週間動向】尹大統領の肯定評価38.9%(2.5%p↑)…2週連続上」

これは、今回の民主労総が仕掛けたストライキがいかに国民からの支持を得ていないのかを表していると考えられます。今回のストライキは政治的な策謀に見えるのでしょう。

韓国の皆さんの多くは、貴族労組のやり口に本当にうんざりしていると思われます。だからこそ、真っ向勝負をしている尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が支持されるのです。

韓国政府は、まだ精油、自動車関連などの業界運送者に対しては業務開始命令を出していません。そのため、ガソリンが切れたガソリンスタンドは増加傾向にあります。

しかし、やがて政府は下命を決断するものと見られます。

さあこのストライキはどう終わるでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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