■申告納税者の所得税負担率を知っていますか!?
サラリーマンの場合は所得税は会社で天引きされていますから、毎月の給与明細で数字を見て、年末調整時に再確認するぐらいではないでしょうか。課税所得の金額によって、所得税は変わりますね。「申告納税者」の「課税所得金額」別に所得税負担率を計算したデータがあります。それを見てみましょう。
~250万円:2.6%
~300万円:2.8%
~400万円:3.5%
~500万円:4.6%
~600万円:6.2%
~700万円:7.6%
~800万円:8.8%
~1,000万円:10.6%
~1,200万円:12.9%
~1,500万円:15.5%
~2,000万円:18.4%
~3,000万円:22.4%
~5,000万円:26.4%
~1億円:28.3%
~2億円:27.5%
~5億円:24.9%
~10億円:22.9%
~20億円:22.3%
~50億円:15.8%
~100億円:13.5%
100億円~:18.8%
これを見ると、日本の所得税の負担率は(課税)所得金額が1億円をピークに逆に減っていることが分かります。日本は累進課税制度ですから、本来であれば所得金額が増えるほど所得税負担率も上がっていかないとおかしいのではないでしょうか。
しかし現実はそうなっていません。100億円もの課税所得があると、その負担率は13.5%と下がっています。これはこのような巨額の所得を得る人は、株式の売買によるものがほとんどで、その場合、税制の優遇があるからです。
また、これはきちんと申告した人を集計したデータですから、正しく申告していない人もいるでしょう。専門家によれば、国税庁が把握していない数字を入れるとこの負担率はもっと低くなるだろう、とされています。
■税率を1%上げると税収がこれだけ増える!?
この所得税について財務省による嫌な試算データもあります。所得税率を1%上げるとどのくらい税収が増えるかというものです。それによりますと……、
課税所得1,800万円以上 ⇒ 税率1%引き上げ当たりの増収力:約380億円
課税所得900万円-1,800万円未満 ⇒ 税率1%引き上げ当たりの増収力:約440億円
課税所得695万円-900万円未満 ⇒ 税率1%引き上げ当たりの増収力:約260億円
課税所得330万円-695万円未満 ⇒ 税率1%引き上げ当たりの増収力:約1,500億円
課税所得195万円-330万円未満 ⇒ 税率1%引き上げ当たりの増収力:約1,700億円
課税所得0円-195万円未満 ⇒ 税率1%引き上げ当たりの増収力:約6,500億円
となっています。「課税所得0円-195万円未満」の人の税率を1%上げるのが一番税収が増えるというのです。本当に嫌な試算ですね。
以前、ある投信会社に取材した際に「タックス・コンシャスになることが大事です」と説明されました。税制がどうなっているのか、賢く税金に対応できるような知識を持つことが重要という意味です。これから日本の税制がどうなっていくのか、どうするのかについて、日本国民は注意深く見ておかないといけないですね。
(高橋モータース@dcp)